中小企業における雇用の不足感と採用難の高まり

中小企業における雇用の不足感と採用難の高まり 先日、商工中金調査部より「中小企業の採用動向調査」という調査結果が発表になりました。この調査は同金庫取引先のうち、上場企業を除く5,134社を対象として行われたもので、過半数が従業員規模50人以下の中小企業を対象としたものになります。今日はこの中から、中小企業で深刻さを増している雇用の過不足感および採用見込みについての結果を見てみることにしましょう。
雇用の過不足感(現状)
 現状の雇用の過不足感を見ると左グラフのように「不足」とする企業の割合は29.5%(「不足」2.4%と「やや不足」27.1%の合計)が、「過剰」とする企業の割合である16.9%(「やや過剰」15.5%および「過剰」1.4%)を12.6ポイント上回っています。全然会の1999年調査では「不足」の13.7%に対して、「過剰」が32.2%と大きく過剰が上回っていましたので、この7年間で、中小企業の人材過剰感は解消し、不足感が大きくなっていることが分かります。


採用見込み
 これに対し、2005年度の採用実績見込み(正社員/新卒は2006年4月採用)における「希望通りの採用の可否」の設問に対しては、「希望通りの見込み」という回答が、正社員/新卒では56.0%、正社員/中途では66.9%、常用雇用パートでは69.2%と、いずれも低い数値となっています。中でも正社員/新卒について希望通りの採用ができる見込みを従業員規模別に見ると、従業員が30人以下で33.9%、31~50人で55.5%、51~100 人で58.3%、101~300人で67.0%となっており、少なくとも300人以下企業においては企業規模の差が新卒の採用力に大きな影響を与えていることが良く分かります。


 このように中小企業の人材不足感および採用難が進んでいます。この問題は近い将来、企業の成長を阻害する最大の要因となる危険性を持っているため、いまから企業の魅力の向上による採用力の強化を進めておく必要が高くなっています。



参考リンク
商工中金調査部「中小企業の採用動向調査」
http://www.shokochukin.go.jp/material/pdf/special/cb06other07-2.pdf


(大津章敬)


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