退職金には在職中の貢献度を反映しなければならないのか?

 今日は久し振りに退職金制度についてお話したいと思います。退職金制度の改定といえば、ポイント制退職金制度を中心とした在職中の貢献度を反映させた制度が主流となっています。こうした傾向は、確定拠出年金制度における拠出金設定基準や、拙著「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル」で取り上げた中退共活用の確定拠出型退職金制度での中退共の掛金設定基準などについても同様の流れが見られます。これは成果主義的な貢献度反映型の人事制度が主流になる中では、当然の動きと見ることができるでしょう。


 しかし、なにが何でも退職金の支給額に格差をつけなければならない、差があって当たり前というような風潮には疑問を感じざるを得ません。例えば「同期入社のAさんとBさん。Aさんは部長で定年、Bさんは主任で定年の場合、退職金支給額は同じであるべきか、違うべきか」という質問をすると、ほとんどの場合、「Aさんの退職金が高くあるべき」、つまり在職中の貢献度を退職金にも反映させるべきであるという反応が返ってきます。しかし、この2人、毎月の賃金や賞与では既に格差がついており、退職金にまで格差を設けるべきかどうかは別途検討が必要ではないでしょうか。「確かに生涯賃金で格差が付いているが、社員は退職金の支給額だけを見て、不満を持つ危険性が高い。よって、退職金にも格差が必要である」というような意見もあれば、逆に「退職金は定年退職後の生活扶助の一部であり、また在職中の功労に対するご苦労さん代である。よって、退職金は勤続年数に応じて一律で払うべきである」という考え方もあるでしょう。最終的な結論はどのようなものであっても良いと思いますが、それだけに制度構築においては、自社としてどのような目的で退職金制度を設けるのかという基本コンセプトを十分に検討していただきたいところです。その中には当然、「従来の退職金制度は当社にとって価値はない。(前払い制度や確定拠出年金制度など)まったく別の支給を検討しよう」という選択肢もあって良いはずです。


 人事制度の最終目的は、社員の活性化による企業の発展であるべきです。よって退職金制度を初めとした人事制度改定の際には、「それは当社の発展に繋がるものだろうか?」という視点を持って、検討を進めていただきたいと思います。


(大津章敬)


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