改正高年齢法への対応は67.2%の企業が継続雇用制度を選択

改正高年齢者雇用安定法への対応 先日、帝国データバンクより「改正高年齢者雇用安定法に関する企業の対応調査」というレポートが公表されました。これは改正高年齢者雇用安定法への企業の対応状況について調査を実施したもので、調査対象は全国20,071社で、有効回答企業数は9,997社というもの。今日は非常に興味深いこの調査の概要について取り上げてみることにしましょう。
改正高年齢者雇用安定法への対応状況
 2006年4月に施行されている法律への対応状況は以下のようになっています。
継続雇用制度 67.2%
定年延長     8.9%
定年廃止     1.5%
未対応     10.0%
不明      12.4%
 やはり継続雇用制度が中心というのは予想されたとおりですが、一方では定年廃止を選択した企業が1.5%(9,997社中150社)に上っています。内訳を見ると中小企業が139社、大企業が11社となっており、一部の中小企業で今回、積極的に定年の廃止を行う動きが見られたことは特筆すべきではないでしょうか。


雇用延長される従業員の割合
 今回の法律に対応し、雇用確保措置を行っている企業に対し、雇用延長される従業員の割合を聞いた設問については、42.7%が希望者全員と回答しています。次いで「9割」(8.1%)、「8割」(7.7%)となっており、比較的法律の趣旨にあった広い範囲での雇用確保が行われている現状が明らかになっています。


雇用延長後の給与水準
 雇用延長後の給与水準については「6割」との回答がもっとも多く構成比22.5%。次いで「7割」(21.4%)、「5割」(12.0%)、「8割」(10.7%)となっています。


 このように今回、比較的サンプル数が多い調査結果が発表されましたが、概ね予想通りという結果であったのではないでしょうか。この60歳以降の雇用確保については、現実的にはどのような職務を担当してもらうのかということが最大の実務面での課題となりますので、そのあたりの設問があるとより興味深いものになったと思いますが、他社動向を眺めながら賃金水準の設定などを行う企業が多かったことを考えれば、一定の参考になるレポートではないかと思います。



参考リンク
帝国データバンク「改正高年齢者雇用安定法に関する企業の対応調査」
http://www.tdb.co.jp/watching/press/keiki_w0608_2.pdf


(大津章敬)


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