再開後の労働政策審議会労働条件分科会 検討状況

 労働契約法および労働時間法制の検討を進めている労働政策審議会労働条件分科会の第61回(2006年9月11日)の資料が公開されました。同分科会は、当初厚生労働省から提出された素案に対する使用者側・労働者側双方から反対意見が強く、いったん中断した後、8月末に再開されましたが、今回はその最大の論点である「労働契約法制及び労働時間法制の今後の検討について(案)」という資料が提示されています。


 具体的には実物をご覧頂きたいと思いますが、これを見ると、解雇の金銭解決制度の記述は消えていますが、その他の論点については文末が「検討を深めてはどうか」となっただけで、基本的な方向性は変わっていないような印象を受けます。金銭解決制度と同様に分科会空転の最大の論点の1つであったホワイトカラーエグゼンプション制度についても以下のような記載がなされています。
「企業においては、高付加価値かつ創造的な仕事の比重が高まってきており、組織のフラット化や、スタッフ職等の中間層の労働者に権限や裁量を与える例が見られる。このような状況に対応し、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、緩やかな管理の下で自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者が、健康を確保しつつ、その能力を一層発揮しながら仕事と生活の両面において充実した生活を送ることができるようにする観点から、ホワイトカラー労働者の自律的な働き方を可能とする制度を創設することについて検討を深めてはどうか」


 厚生労働省の素案から具体性を排除し、一歩後退したポイントから再検討しようといった印象を受けますが、今後どうなることでしょうか。人事労務管理に非常に大きな影響を与える法律だけに、十分な議論を期待したいものです。



参考リンク
厚生労働省「第61回労働政策審議会労働条件分科会 会議次第及び資料項目」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/s0911-3.html


(大津章敬)


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