不足感が高まる中小企業の雇用状況

 景気の回復や団塊の世代の退職により雇用の企業の求人熱が高まる中、先日、商工中金より「中小企業の雇用・賃金の動向について」という調査結果が発表になりました。これは同金庫の取引先の中小企業を対象に行われた雇用に関する調査ですが、その中で最近の雇用状況の変化を感じさせる内容がありましたので、取り上げてみることにします。


不足感が高まる中小企業の雇用状況 「現状の雇用の過不足感」というアンケート項目に関する回答を見ると、「不足」とする企業が23.8%、「過剰」が7.4%、「適正」が68.9%となっており、雇用の不足を感じる企業が過剰とする企業を16.4ポイント上回るという結果になりました。グラフは99年5月、2003年2月、2006年2月、そして今回の結果ですが、年々「過剰」と回答する企業の割合が減少し、先ほどの「不足-過剰」のポイント差も△18.5ポイント→△15.7ポイント→+12.6ポイント→16.4ポイントと2006年2月に「不足」か「過剰」を上回り、年々、雇用の不足感が高まっていることが分かります。


 なお、雇用を「不足」とする企業の対応方法については、以下のような結果となっており、中途の正社員採用への意欲が高くなっています。当面はますます雇用の不足感が高まっていくことでしょう。
「正社員(中途)の雇用増加により対応」53.5%
「既存従業員の時間外勤務の増加により対応」36.0%
「1人当たり賃金の増加により対応」32.8%
「パートタイム労働者の雇用増加により対応」31.7%
「派遣労働者の雇用増加により対応」28.5%
「正社員(新卒)の雇用増加により対応」27.5%



参考リンク
商工中金「中小企業の雇用・賃金の動向について」
http://www.shokochukin.go.jp/material/special_back.html


(大津章敬)


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