給与計算で便利なEXCEL TIPS集「入社年月日より勤続年数を求めたい」
本日は「給与計算で便利なEXCEL TIPS集」の第13回として、「入社年月日より勤続年数を求めたい」をお送りしましょう。
給与計算ソフトは通常、勤続年数の数値はもっていません。このため、勤続年数を求める際には、エクスポートしたデータから算出する必要があります。今回は、この算出方法を取り上げましょう。
【質問】
当社では平成18年10月1日を基準日として、全社員の勤続年数を調べることになりました。給与計算ソフトでは、入社年月日しかデータがないようです。どのようにすれば簡単に調べられますか。
【回答】
EXCELのDATEDIF関数を利用することで、入社年月日から基準日までの勤続年数を算出できます。
【解説】
EXCELには指定した期間内の日数を求めるDATEDIF関数があります。入社年月日と基準日を指定することで、入社してからの日数を算出し、年数として表示させることが可能です。
■関数の説明
=DATEDIF(開始日,終了日,単位)
開始日 期間の初日(開始日)を表す日付を指定します。
終了日 期間の最終日(終了日)を表す日付を指定します。
単位 返される情報の種類を指定します。
”Y”:期間内に含まれる満年数
”M”:期間内に含まれる満月数
”D”:期間内の日数
”MD”:1ヶ月未満の日数
”YM”:1年未満の月数
”YD”:1年未満の年数
■利用方法
例えば、2002年7月1日に入社した人を例を取り、利用方法を見てみましょう。
=DATEDIF( [2002/7/1] , [2006/10/1] , “Y” ) → 「4」
=DATEDIF( [2002/7/1] , [2006/10/1] , “YM” ) → 「3」
この人の勤続年数は4年3ヶ月ということが分かります。
■注意点
期間の取り扱いに関する注意点
この関数は、「期間内の日数を求める」ものです。終了日はカウントされませんので、終了日も含めて期間を算出する際には終了日に1を加算する必要があります。
<例>
=DATEDIF( [2002/7/1] , [2006/9/30] , “YM” ) → 「2」
=DATEDIF( [2002/7/1] , [2006/9/30]+1 , “YM” ) → 「3」
生年月日を利用する際の注意点
この関数で年齢を算出する際には、<a>のように扱いがちです。
<a> =DATEDIF( [1974/10/1] , [2006/9/30] , “Y” ) → 「31」
=DATEDIF( [1974/10/1] , [2006/9/30] , “YM” ) → 「11」
年齢計算に関する法律により厳密に取り扱うと誕生日の前日が終了する瞬間(誕生日の午前0時00分の直前)に1歳を加えることになるため、この法律に則って厳密に計算するには<B>のように取り扱う必要があります。
<B> =DATEDIF( [1974/10/1]-1 , [2006/9/30] , “Y” ) → 「32」
=DATEDIF( [1974/10/1]-1 , [2006/9/30] , “YM” ) → 「0」
【まとめ】
この関数は、EXCELの機能である「関数の挿入」ダイアログでは表示されません。従って、キーボードから直接入力する必要があります。しかしながら、年齢を算出するときなど非常に便利な関数ですので、ぜひとも押さえておきたいものです。
参照条文
年齢計算ニ関スル法律(明治35年12月2日法律第50号)
1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
民法第143条(暦による期間の計算)
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
(宮武貴美)
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