障害者雇用率達成に向けた雇入れ計画作成命令の対象範囲拡大

 先日、厚生労働省より「平成18年度上半期における障害者の職業紹介状況」という調査結果が発表されました。これによれば、平成18年度上半期における障害者の就職件数は、対前年同期比17.9%増の21,652 件、新規求職申込件数も対前年同期比5.8%増の51,224件と順調に障害者雇用が進んでいることが分かります。このように全体としては、障害者の雇用が大幅に改善していますが、一方では法定雇用率に達しない企業も多く存在し、その指導基準の見直しが予定されています。今回はそのポイントについてお話しましょう。


 平成17年6月1日現在の民間企業における障害者雇用状況は、実雇用率が1.49%(前年差0.03%ポイント上昇)、法定雇用率達成企業の割合42.1%(前年差0.4%ポイント上昇)など、徐々にではありますが、障害者雇用が進んでいることが分かります。しかし、一方では 中小企業の実雇用率は、引き続き低い水準にあり、特に100人~299人規模の企業においては、1.24%(前年差0.01%ポイント低下)と、企業規模別でもっともも低くなっています。また、1,000人以上規模の企業においては、実雇用率は1.65%(前年差0.05%ポイント上昇)と高水準にあるものの、同時に雇用率達成企業の割合は33.3%という低水準に止まっています。


 このような結果を踏まえ、以下のように雇入れ計画作成命令の対象範囲を拡大するという対策が行われることになっています。
基本的指標としての実雇用率水準の見直し
 現在は「1.2%未満 かつ 不足数5人以上」が対象となっていますが、これを「全国平均実雇用率未満 かつ 不足数5人以上」に拡大されることになっています。(平成19年度より)
中小規模の0人雇用企業に対する指導の強化
 法定雇用数が3~4人(167~277人規模企業)であって、0人雇用の企業に対する指導が強化されています。
不足数が多い企業に対する指導の強化
 不足数が10人以上と多い企業についても指導が強化されています。


 こうした取り組みを通じ、平成20年の障害者雇用状況報告において、雇用率達成企業の割合が5割を超えることを目指すということのようですが、特にの167人~277人規模企業では法定雇用率未達成時の納付金制度が適用になっていないこともあり、特に障害者雇用が遅れているため、大きな影響が予想されます。




参考リンク
厚生労働省「平成18年度上半期における障害者の職業紹介状況」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/11/h1114-1.html
厚生労働省「障害者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha.html


(大津章敬)


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