大企業で急速に導入が進められるマッチング・ギフト資金支援制度
先日、日本経団連より「2005年度 社会貢献活動実績調査結果」という資料が発表されました。これは日本経団連の会員企業を中心とした1,403社を対象に実施された企業の社会貢献活動の実態調査。全体的にはCSRの重要性が叫ばれる中で、大企業が積極的に社会貢献活動を推進している状況が結果に現れていますが、本日はその中から、社員のボランティアに関する支援の実施状況について、取り上げてみることにしましょう。
まず社員のボランティア活動を支援している企業の割合ですが、1993年度の調査では35.3%に過ぎなかったものが、今回の調査では65.8%と急増し、回答企業の3社に2社が何らかのボランティア活動への支援を行っているという状況が明らかになっています。具体的に導入されている制度については以下のような結果になっています(回答の母数は447社・複数回答)。
□ボランティア休職制度 77社(17.2%)
□青年海外協力隊参加制度 79社(17.7%)
□ボランティア休暇制度 157社(35.1%)
□ボランティア活動者表彰制度 51社(11.4%)
□ボランティア活動者登録制度 36社(8.1%)
□ボランティア研修制度 26社(5.8%)
□退職者ボランティア支援制度 14社(3.1%)
□マッチング・ギフト資金支援制度 69社(15.4%)
□地域貢献活動促進運動 69社(15.4%)
このようにボランティア休暇や休職、青年海外協力隊参加制度などの導入事例が多いのですが、この中で、ここ3年間で急速に導入事例が増えているのが、マッチング・ギフト資金支援制度です。導入社数69社のうち、約半数が2003年以降に制度導入を行っています。これは従業員が社会に貢献する何らかの寄付等を行う場合に、企業側が金銭的な支援を上乗せ(マッチング拠出)することで、寄付に厚みを持たせたり、活動経費の補助を行うというものです。企業が金銭的な支援を行うことにより社員の社会貢献意欲を高め、結果としては企業も社会的責任(CER)を果たすということに繋がります。
中小企業ではまだまだこのような取り組みは非常に限定的ではありますが、CSRの重要性が増す中、今後はこうした取り組みが求められるような時代になっていくのではないでしょうか。
参考リンク
日本経団連「2005年度 社会貢献活動実績調査結果」要約
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/084/youyaku.pdf
デンソー「社会貢献活動-ボランティア支援」
http://www.denso.co.jp/SOCIAL/volunteer/index.html
花王「ハートポケット倶楽部」
http://www.kao.co.jp/corp/citizenship/c7/c7-1.html
第一生命「ボランティア活動~マッチングギフト制度」
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/activity/chiiki/volunteer.html
(大津章敬)
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