社内行事の復活
会社の年間の主要な行事として、以前は社員旅行や社員運動会等がどの会社でも盛んに行われていました。私が子供の頃には、生まれ故郷に大きな毛織会社があり、そこでの年に一度の大運動会は、町中を挙げて見に行って楽しんだ記憶が今でも強烈に残っています。しかし、バブル崩壊の頃から、社員運動会はあまり行われなくなりました。社員旅行についても、参加者が希望しない等の理由で廃止する企業が増加しました。
運動会や旅行等の社内行事は、確かに費用的な面や社員が好まないという問題がありますが、一方で、企業の一体感や理念の浸透という視点からは今でも大きな効果を持っていると思います。今の時代のような個性化、多様化の中では、ばらばらになった人の心を一体化して行動させることが、経営の方向としては非常に重要です。社内行事は、そういう一体感を目覚めさせてくれる良い機会です。
この効果に注目したのが、バブル崩壊後にいったん消えていった社内行事がここに来て復活してきているようです。例えば、アルプス電気では13年ぶりに運動会が復活しました。また、ユニ・チャームも10年ぶり、ホンダの鈴鹿製作所では24年ぶりに運動会を執り行ったようです。
名南経営センターグループも社員が300名を超えましたが、未だに社員旅行は毎年欠かさず行っており、出発日は異なっても途中で合流して全員が一堂に会する夕べを設け、社員演出の余興などで盛り上がることを頑なに続けています。やはり一体感を醸成させるには、この旅行は非常に効果があると考えていますので、できる限り続けていきたいと思っています。
経営の原点は人の心です。その人の心をいかにつかみ、そして明るい雰囲気の社内を構築するかが大事です。今まで個の尊重に偏りすぎてこういった社内行事を廃止した企業も、もう一度再興を検討されてもよいのではないでしょう
(佐藤澄男)
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