キャリア・ディベロップメント・プログラム

 会社が社員の成長をバックアップする仕組みとしてキャリア・ディベロップメント・プログラム(以下、「CDP」という)というものがあります。これは社員各人の能力や適性に応じて目標を設定して、研修とジョブローテーション等で知識や技術を身につけさせていくもので、長期的視点からの人材開発として位置づけられています。しかし、このCDPそのものがキャリアを開発していくものではなく、それはあくまでもキャリア開発をしていく上でのきっかけや動機づけに過ぎません。普段の職業生活の中で何気なく仕事をしていたり、それとは逆に仕事に追われたりすると、キャリアのことを忘れがちになり、短期的な視点や自分の想いだけでキャリアを考えてしまいます。このときに、CDPが長期的な視点を提供し、そのキャリア開発を管理していく機能を果たしてくれるでしょう。
 
 それでは、会社はどのようにCDPを取り組んでいけば良いのでしょうか。組織的にCDPを推進していくためには、まずは会社にその受け皿をつくることが必要になってきます。具体的には次の3つの要素を盛り込むことで、より効果的な支援策をつくることができるでしょう。
キャリアについて考える機会の設定
 キャリア教育・指導、キャリアカウンセリングを受ける機会を設け、社員に受講させる。
複数のキャリアパスの提示
 異動や昇進によってどのようなキャリアパスがあるのかを社員が見通せるようにして、長期的なキャリアパスを設計できるようにしていく。それに付随して、その希望が異動や仕事の内容に反映される可能性をできるだけ高くしていく工夫が欠かせないでしょう。
複線型の研修形態
 段階に合わせた能力開発プログラムや選択型・選抜型の研修制度を用意する。特に選択型の研修は、社員の自主性を活かすことでキャリアの成長効果をより大きくすることができるでしょう。


 以上の支援を行った後は、その運営が肝心であり、管理者の理解とキャリア支援を後押しする取り組みが必要になってくるでしょう。社員個人の希望を聞き、できれはそれを担当職務や配置に反映させるところまで目指したいものです。社員の希望を聞いただけで終わってしまうと、社員が会社の支援制度に期待を寄せなくなり、更には他の社員も周りの様子を見て、同じように期待を抱かなくなることもあるでしょう。会社としては、社員がその会社での自分の将来を望むことができるように、環境を整備していくことが必要になってくるのではないでしょうか。社員から「期待される組織」を目指して、社員個人の成長を組織の成長に結びつけたいものです。


 それでは次回はキャリアの最終回として「キャリアマネジメント」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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