増加を続ける個別労働紛争と求められる企業の対応
先日、愛知労働局より「平成18年度上半期における個別労働紛争解決制度の利用状況」という資料が発表されました。これは、愛知県下17ヶ所の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数などを集計したもの。これによれば、平成18年度上半期に愛知県下の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は36,816件となり、平成13年10月の制度発足以来、最高の件数となりました。また前期(平成17年10月から平成18年3月まで)と比べると、18.2%の大幅な増加となっています。更に総合労働相談のうち労働関係法令の違反等を伴わない解雇、労働条件の引下げ、退職勧奨等のいわゆる民事上の個別労働紛争に関する相談は4,916件となり、こちらも前期と比べて22.3%の大幅増加となりました。
民事上の個別労働紛争に関する主な相談内容は、解雇が22.9%と最多で、次いで労働条件の引下げ16.9%、いじめ・嫌がらせ11.7%、退職勧奨8.6%となっていますが、前期からの相談者の就労状況を見ると、派遣労働者からの相談件数が大幅に増加しており、正社員だけではなく、非正規の労働者に対する対応の必要性が高くなっています。
このように個別労働紛争が年々増加の一途を辿っていますが、企業としてはその防衛のため、一定のリスクを想定した就業規則への見直しや未然にハラスメントなどの問題を発見するための苦情処理窓口の設置といった対応が求められています。また現場においては管理者への労務管理教育や労使コミュニケーションを充実させるための施策なども検討すべきではないでしょうか。仕事柄、これまで何度となく労使トラブルの相談に対応していますが、企業経営において、これほど非生産的で、無駄なものはありません。労使が無用なトラブルに巻き込まれることなく、安心して働くことができる環境の構築を目指したいものです。
参考リンク
愛知労働局「平成18年度上半期における個別労働紛争解決制度の利用状況」
http://www2.aichi-rodo.go.jp/soudan/pdf/06-12-15-1.pdf
厚生労働省「個別労働関係紛争の解決の促進のために」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html
(大津章敬)
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