リアリティ・ショック

 会社には去る人がいれば入る人がいて、人材が流動しています。毎年4月になると学卒の新入社員が入社し、また随時中途社員が入社して来る訳ですが、新人が入社する際に注意しなければならないのが「リアリティ・ショック」です。これは、理想と現実がかけ離れていることに衝撃を受けたときに経験するもので、入社前のイメージと実際に入社した現実の違いを自分の中で消化しきれない状態になっています。そのため、新人は働いていることに違和感を覚えたり、期待はずれを感じたりして、結果的に離職に至ることや喪失感を感じることにもなりかねません。


 それでは、会社はどのようにリアリティ・ショックを回避すればよいのでしょうか。まずは、入社前と後のギャップを緩やかにすることです。特に社会人経験のない者にとっては、仕事や会社、人間関係など様々なことに対してギャップを感じかねません。入社前に情報提供を行い、なかでも経験談を伝えて現実をイメージしてもらえるような工夫が欠かせないでしょう。また、インターシップと呼ばれる学生が就業体験を通じて、仕事についての専門的な内容や仕事・会社のあり方について学び、知識や経験を深める制度がありますが、これを活用して事前にギャップを埋めておくこともできるでしょう。


 リアリティ・ショックは、入社間もない時期に経験するものに限定されず、ベテランの社員であっても大きな環境変化によって引き起こされるものです。現実を知っていく中で、不安を感じることや組織の中で自分を見つけられずに悩むこともあります。このようなときは、先輩社員や上司が相談に乗る等、なるべく早く抜け出せるようにサポートしていくことが重要です。メンター制度という先輩社員が仕事と職場の不慣れな新人を育成・指導する仕組みを会社に導入してみることも、ひとつの手段になるでしょう。


 それでは次回は「心理的契約」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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