[労働時間制度改革]ホワイトカラーエグゼンプション制度の対象者(6/7)

 本日は労働政策審議会の労働時間制度改革に関する答申についての連載の6回目。今回はこの労働時間制度改革における最大の注目ポイントであるホワイトカラーエグゼンプション制度の対象者について見てみることにしましょう。


[答申文書]
5 自由度の高い働き方にふさしい制度の創設
 一定の要件を満たすホワイトカラー労働者について、個々の働き方に応じた休日の確保及び健康・福祉確保措置の実施を確実に担保しつつ、労働時間に関する一律的な規定の適用を除外することと認めることとすること。
(1)制度の要件
①対象労働者の要件として、次のいずれにも該当する者であることとすること。
 1.労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事する者であること
 2.業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者であること
 3.業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする者であること
 4.年収が相当程度高い者であること
 なお、対象労働者としては管理監督者の一歩手前に位置する者が想定されることから、年収要件もそれにふさわしいものとすることとし、管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、かつ、社会的に見て当該労働者の保母に欠けるものとならないよう、適切な水準を当分科会で審議した上で命令で定めることとすること。
 本項目については、使用者代表委員から、年収要件を定めるに当たっては、自由度の高い働き方にふさわしい制度を導入することのできる企業ができるだけ広くなるよう配慮すべきとの意見があった。
②制度の導入に際しての要件として、労使委員会を設置し、下記(2)に掲げる事項を決議し、行政官庁に届け出ることとすること。
※以下省略


[ポイント]
 労働条件部会でももっとも議論された年収要件については、結局その具体的水準は示されず、本答申では「4.年収が相当程度高い者であること」という表現にとどめられています。しかし、各種報道によればこの水準は800万円とも900万円とも言われており、それが事実であるとすれば、多くの中小企業では実質的にこれを適用するのは難しいという結論に至ることでしょう。


 この点については以前ご紹介した管理監督者や企画業務型裁量労働時間制の見直しと共に、企業の労働時間管理に大きな影響を与えるポイントだけに、今後の法制化の議論をフォローしたいところです。しかし、ここに来て政府・与党は4月の統一地方選および7月の参院選に配慮し、労働時間法制を中心とした労働基準法改正案の次期通常国会提出見送るというような話も報道されています。ここ数日の報道に注目が集まります。



参考リンク
厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方について」及び「今後の労働時間法制の在り方について」についての労働政策審議会からの答申について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/h1227-4.html


(大津章敬)


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