[労働時間制度改革]ホワイトカラーエグゼンプション制度導入時の諸要件(7/7)

 本日は労働政策審議会の労働時間制度改革に関する答申についての連載の最終回。今回はホワイトカラーエグゼンプション制度導入時の諸要件について見てみることにしましょう。


[答申文書]
5 自由度の高い働き方にふさしい制度の創設

(1)省略
(2)労使委員会の決議事項
①労使委員会は、次の事項について決議しなければならないこととすること。
 1.対象労働者の範囲
 2.賃金の決定、計算及び支払方法
 3.週休2日相当以上の休日の確保及びあらかじめ休日を特定すること
 4>労働時間の状況の把握及びそれに応じた健康・福祉確保措置の実施
 5.苦情処理措置の実施
 6.対象労働者の同意を得ること及び不同意に対する不利益取扱いをしないこと
 7.その他(決議の有効期間、記録の保存等)
②健康・福祉確保措置として、「週当たり40時間を超える在社時間等が概ね月80時間程度を超えて対象労働者から申出があった場合には、医師による面接指導を行うこと」を必ず決議し、実施することとすること。
(3)制度の履行確保
①対象労働者に対して、4週4日以上かつ一年間を通じて週休2日分の日数(104日)以上の休日を確実に確保しなければならないこととし、確保しなかった場合には罰則を付すこととすること。
②対象労働者の適正な労働条件の確保を進めるため、厚生労働大臣が指針を定めることとすること。
③②の指針において、使用者は対象労働者と業務内容や業務の進め方等について話し合うこととすること。
④行政官庁は、制度の適正な運営を確保するために必要があるときは、使用者に対して改善命令を出すことができることとし、改善命令に従わなかった場合には罰則を付すこととすること。
(4)その他
 対象労働者には、年次有給休暇に関する規定(労働基準法第39条)は適用することとすること。


 なお、自由度の高い働き方にふさわしい制度については、労働者代表委員から、既に柔軟な働き方を可能とする他の制度が存在すること、長時間労働となるおそれがあること等から、新たな制度の導入は認められないとの意見があった。


[ポイント]
 昨日ご紹介した年収要件に注目が集まるホワイトカラーエグゼンプションですが、実際の導入に当たっては、その他も様々な諸要件が定められています。中でもポイントとなるのが、以下の2点ではないでしょうか。
健康・福祉確保措置として、「週当たり40時間を超える在社時間等が概ね月80時間程度を超えて対象労働者から申出があった場合には、医師による面接指導を行うこと」を必ず決議し、実施すること。
対象労働者に対して、4週4日以上かつ一年間を通じて週休2日分の日数(104日)以上の休日を確実に確保しなければならないこと。

 今回、7日間に亘り、労働時間制度改革についての短期連載を行いましたが、この答申の内容での法制化が進められた場合には、戦後最大の労働基準法改正に位置づけられる程のインパクトが予想されます。夏の参議院選挙をにらみ、政治的な駆け引きも始まっているようですが、今月下旬にスタートする通常国会での議論を注目したいところです。



参考リンク
厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方について」及び「今後の労働時間法制の在り方について」についての労働政策審議会からの答申について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/h1227-4.html


(大津章敬)


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