4月に予定される雇用保険法等改正のポイント

 ホワイトカラーエグゼンプションの話題が異様な盛り上がりを見せる中、雇用保険に関する重要な法改正が検討されています。先日、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会による「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」に基づき、厚生労働省は「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」をとりまとめ、労働政策審議会に諮問を行いました。


 本日は平成18年12月27日に出された報告より、今年の4月より施行が予定される雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱のポイントを見てみることにしましょう。
国庫負担の在り方の見直し
□高年齢雇用継続給付に係る国庫負担を廃止
□当分の間、国庫負担を本来の負担額の55%に引下げ
保険料率の見直し
□失業等給付の弾力料率を±0.2%から±0.4%とし、前年度の決算結果等を保険料率適切に反映
  平成19年度からの料率を1.6%→1.2%に引き下げ
□雇用安定事業等の弾力条項の連続発動期間の制限(2年間)を撤廃
  平成19年度からの料率を0.35%→0.30%に引き下げ
雇用保険三事業の廃止・見直し
□雇用福祉事業の廃止
□人口減少下における必要な雇用対策への重点化
被保険者資格および受給資格要件の一本化
短時間労働被保険者(週所定労働時間20~30時間)の被保険者区分をなくし、被保険者資格と受給資格要件を一般被保険者として一本化(短時間労働被保険者以外の一般被保険者6月・短時間労働被保険者12月→被保険者期間6月(自己都合等の場合12月)
特例一時金の給付水準の適正化
□季節労働者等に支給される特例一時金の給付水準を基本手当日額50日分から30日分(当面の間40日分)に適正化
教育訓練給付及び雇用安定事業等の対象範囲の見直し等
教育訓練給付の給付率を2割に統一し、当面の間初回のみ受給要件を緩和(被保険者期間3年以上→1年以上)
□教育訓練事業者に対する不正受給事案に加担した場合の連帯納付命令、報告義務の付与
□雇用安定事業等の対象として、「被保険者になろうとする者」を明確化
育児休業給付制度の拡充
休業前賃金の40%から50%に暫定的に引き上げ


 以上のように短時間労働被保険者区分の廃止や保険料率の引き下げなど、実務的に非常に大きな改正になっています。この件につきましてはまた改めて取り上げることにしたいと思います。



参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書及び労働政策審議会に対する「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の諮問について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/01/s0109-2.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。