会社人間
「この仕事をやりたい」、「その仕事をこの会社でやりたい」という2つの思いは、足し算ではなく掛け算で作用し、社員の動機づけなってくれます。会社としては、社員が「この会社」でと思い選択肢の中から選んでくれる存在になりたいものです。そのためには、社員にいま所属している会社に対して愛着や帰属意識をもってもらうことが重要になります。
かつては、仕事に自らの時間とエネルギーのほとんど使い、家庭を省みないヒトを「会社人間」と呼んでいました。そのため、この言葉にはマイナスのイメージがついていましたが、現実問題として組織の側から見ると、会社のために働き、滅私奉公してくれるヒトというのは、会社にとって欠かせない存在であるというのも事実です。「会社人間」には高い帰属意識があり、会社という組織に強い思い入れを持つため、離職することも、欠勤することも少ないとされています。しかし、過剰に帰属意識が高くなると、社員は反社会的な行為に無神経となり、会社のためなら違法も構わないという考えをもつ恐れがあります。高すぎず、低すぎないというバランスの取れた帰属意識というものがあるのでしょう。
それでは、会社人間とまではいかなくとも、社員の帰属意識を高めるにはどのようにしたら良いのでしょうか。そのためにはまず、社員全員が共通の「モノ」を持つことです。例えば社員バッチは、その会社に所属している者だけが持つもので、それを付けることでその組織の一員であることを自覚し、場合によっては誇りに感じることもあるでしょう。モノ以外には、社員全員が参加するイベントも有効な場合があります。会社の方針発表会にはパートを含め社員全員が参加できるようにし、ひとつの場所に集まって同じ時間を共有することも欠かせないでしょう。また、社員旅行や忘年会といった社内行事もそのひとつです。通常の業務においては、提案制度など社員の意見を積極的に取り入れる仕組みを設けることで、自分も会社の計画や決めごとに参画していることを実感させ、会社に自分が存在している意義を味わうことにもなるでしょう。それでは次回は「準拠集団」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。
(福間みゆき)
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