社員の成長と準拠集団
社員は会社という組織に所属しており、行動規範や判断の基準が会社の立場で判断されることもあれば、専門分野での立場で判断されることもあります。社員にはそれぞれ拠りどころとしているものがあり、それを提供している集団を準拠集団と呼んでいます。会社や部署だけでなく、家庭、趣味、資格のつながりなど様々なものがあり、社員に影響を与える存在となるものです。
同じ会社に所属している社員であっても、会社での立場や個人的な事情などによって準拠集団は異なっています。また、準拠集団は1つに限定されず複数の集団に準拠する場合もあり、時にはこれらの集団の板ばさみにあい悩むこともあるでしょう。会社という所属集団と準拠集団が必ずしもイコールになるという訳ではなく、合致したりズレたり、離れたりと変化しています。かつて会社は終身雇用と年功賃金などによって、長く勤めることで会社に対する忠誠心を高め、社員の所属集団(会社)と準拠集団が合致するような施策を講じてきました。けれども、これは社員が長く勤めれば勤めるほどパフォーマンスが高くなっていくという前提のもとで初めて成り立つものです。
職種によっては準拠集団が必ずしも会社でない方が、社員の成長が期待できる場合があります。イメージしやすい例として、専門性の高い職種(法律家、医療従事者、開発技術者など)について考えてみましょう。会社ではなく所属する専門分野や業界団体に準拠していることで、専門家としてのライバルが存在して刺激を受けたり、同じ分野や業界だからこそ分かる悩みを共有できたりなど、社内では得ることができない影響を受けることができるでしょう。このように会社以外の準拠集団をもつことが、社員と会社にとってプラスになることがあります。会社としては、社員が準拠集団に係わっていきやすい雰囲気をつくり、費用の負担や時間の確保などの支援が欠かせないでしょう。次回は、「プロフェッショナル」についてお話したいと思います。お楽しみに。
(福間みゆき)
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