人材不足と景気回復によるベア復活の兆候

人材不足と景気回復によるベア復活の兆候 先日、帝国データバンクより「2007年度の賃金動向に関する企業の意識調査」という資料が公表されました。この調査の対象は全国20,207社で、有効回答企業数は9,529社(回答率47.2%)という比較的大きなもの。本日はこのポイントを見てみることにしましょう。
ベア・賞与引上げなどの賃金改善の実施見込み
 企業における2007年度の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は9,529社中4,193社(44.0%)、「ない(見込み)」が2,523社(26.5%)、「分からない」が2,813社(29.5%)という結果になりました。左のグラフで分かるように、昨年との比較で見ると、「ない(見込み)」の回答が半減し、「ある(見込み)」と回答した企業が10.6ポイントも増加しています。またベア復活の流れが見える中で、他社の動向を見極めたいという意向からか、「わからない」という回答が増加している点も注目ではないでしょうか。


賃金改善の具体的内容
 賃金改善の具体的内容については、「ベースアップ」を行うと回答した企業は9,529社中3,474社(36.5%)、「賞与(一時金)」は2,402社(25.2%)となりました。特にベースアップは前回調査の27.0%から9.5ポイント増加しています。


 このように人材不足の労働力の定着・確保の必要性、そして景気の回復により、今春は多くの企業でベアが復活する方向にあるようです。まずは大企業からその動きが見られると予想されますが、中小企業においても採用力に直結する問題だけに、経営者にとっては頭が痛い状況になるのではないでしょうか。



参考リンク
帝国データバンク「2007年度の賃金動向に関する企業の意識調査」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w0701.html


(大津章敬)


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