平成18年に本格化した企業の人材採用の状況

 団塊の世代の退職や若年労働力の中期的減少、景気回復などを背景に多くの企業が人材採用を強化しています。事実、都市部を中心に人材採用が非常に難しくなり、また給与水準も高騰するなど、バブルの再来を思わせるような状況が見られるようになっています。このように実感ベースでは企業の人材採用熱の高まりを感じるのですが、統計的に見るとどうなのか。本日は先日、厚生労働省から発表された「労働力調査詳細結果(平成18年平均)の概要(速報)」を元に、簡単な分析を行ってみましょう。


 まず今回の調査結果に見る平成18年平均結果の全体像は以下のようになっています。
□正規の職員・従業員は3411万人と,前年に比べ37万人の増加。同調査で比較可能な平成15年以降初めて増加。
□非正規の職員・従業員は1677万人と,前年に比べ44万人の増加。
□非正規の職員・従業員の割合は33.0%と前年に比べ0.4ポイントの上昇


平成18年に本格化した企業の人材採用の状況 これを性別・雇用形態別にもう少し詳しく見たのが左のグラフになります。これは男子正規社員、男子非正規社員、女子正規社員、女子非正規社員という4区分について、前年からの雇用者数の増減を算出し、グラフ化したものです。これを見ると平成15年以降、非正規雇用は男女とも毎年増加しています。一方、男性正規雇用は平成15年から3年間、毎年30万人近い雇用が減少していたのですが、平成18年については前年比18万人増となり、非正規雇用の増加数10万人をも超えるという結果になりました。女性の正規雇用も年々状況が改善し、平成18年は男性と同じく前年比18万人増と、正規雇用者数が完全に回復していることが分かります。完全失業率も昨年11月から3ヶ月連続で4.0%というかなり低い水準になっており、今後は都市部だけではなく、地方でも激しい人材獲得競争が繰り広げられることが予想されます。



参考リンク
厚生労働省「労働力調査詳細結果(平成18年平均)の概要(速報)」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.htm
総務省統計局「労働力調査(速報)平成19年1月分結果の概要」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm


(大津章敬)


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