ロールモデルを通じた人材の育成

 ロールモデルとは行動の規範となる存在、お手本となるものです。女性が育児をしながら働くにあたって、お手本となる人物の存在が欠かせないということで注目されています。しかし、ロールモデルの存在は仕事と育児を両立する女性だけではなく、新人や中堅社員、役職者などすべての社員においても重要なものです。


 ロールモデルは社員にとって行動の参考となるもので、どのように考えたら良いのか迷ったときの助けや悩みなどを共感する対象にもなります。そして、ロールモデルが身近に存在する場合もあれば、身近にはいない人物(例えば有名人)がロールモデルとなることもあるでしょう。どのようなロールモデルを求めるのかは社員それぞれによって異なりますが、少なくとも社員の所属する会社はロールモデルを提供するひとつの場になっています。


 現実的には多くの企業において、明確なロールモデルが存在しないことが多いのではないかと思います。もし存在していたとしても部署が異なるなど、身近にロールモデルが存在していないことも多いでしょう。新卒社員が入社して間もないキャリア初期においては、その時期に出会った人物がロールモデルになりやすいとされています。そのため、会社としては意識的にロールモデルを育てるような取り組みが求められ、併せてロールモデルが生まれやすい環境をつくっていくことが重要になるでしょう。具体的には、社内の人材育成について見直しを行い、計画的な育成ができる部分から実行していくことが求められます。また、社内に存在しなくても社員にとって参考となるようなロールモデルを提示できるように、情報を提供していくことも欠かせないでしょう。それだけでなく、社員の意識や制度慣行を変えるなどして、社員自らがロールモデルになろうと思うような雰囲気をつくっていくことも必要ではないでしょうか。


(福間みゆき)


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