トラック運転者に適用される時間外労働の限度時間
近年の労働行政においては36協定の重要性が年々増しており、労働基準監督署から多くの企業に対して、36協定に関する是正勧告が多く出されています。36協定は年度で締結・届出する例が多いため、ちょうどこの時期にその手続を行っている企業も多いのではないかと思いますが、トラックなど貨物自動車運送事業において36協定を締結する際には、時間外労働の限度時間に注意が必要になります。
自動車運転手については、平成10年労働省告示第154号に定められている原則的な限度時間の基準や1年単位の変形労働時間の場合の限度基準が適用されず、厚生労働省告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改正平成12年12月25日労働省告示第120号)に従うことになります。延長することができる時間を設定する際には、この基準で定められた拘束時間の限度枠内で決めなければなりらず、具体的には以下のような制限があります。
□拘束時間(労働時間、休憩時間その他の使用者に拘束されている時間)
1ヶ月について293時間を超えないもの
1日については13時間を超えないものとし、この拘束時間を延長する場合があっても最大拘束時間は16時間
□休息期間(使用者の拘束を受けない期間)
勤務終了後、継続して8時間以上が必要
□運転時間
2日(始業時刻から起算して48時間)を平均して1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないもの
□連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)
4時間を超えないもの
※トラック以外のタクシーやバスなどの自動車の運転業務は、これとは異なる基準が定められていますので注意が必要です。
[関連告示]
労働基準法第36条第2項の規定に基づき労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準を定める告示(改正平成12年12月25日労働省告示第120号)第5条(適用除外)
次に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、前2条の規程(第4号に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る。)は適用しない。
1 工作物の建設等の事業
2 自動車の運転の業務
3 新技術、新商品等の研究開発の業務
4 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの
参考リンク
神奈川労働局「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/az_karou_unten_nakuso02-1.htm
秋田労働局「時間外労働及び休日労働に関する協定書」
http://www.akita-rodokyoku.go.jp/form/index.html
社団法人千葉県トラック協会「「時間外労働および休日労働に関する協定書」における自動車運転者の限度時間について」
http://www.cta.or.jp/kyokai/monthly/03kyotei.html
(福間みゆき)
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