4月から70歳以上の方にも在職老齢年金の適用が拡大されています

 4月に入り、様々な法律の改正が行われています。当ブログでもこれまで健康保険法や雇用保険法、男女雇用機会均等法などの改正について取り上げてきましたが、年金に関しても4月より改正された事項があります。そこで本日から3回に分け、今春の年金制度の改正内容について取り上げてみましょう。今回は在職老齢年金制度の改正についてです。


 在職老齢年金制度(詳細は参考リンクをご覧下さい)は、これまでは60歳以上70歳未満で社会保険に加入されている方とのみが対象とされていました、今年の4月より新たに70歳以上の年金受給者も対象者として追加されました。これにより70歳以上の方も、社会保険に加入している場合には老齢厚生年金の全額または一部の額が支給停止となる場合があります。


[適用対象者]
 今回の適用対処者は、以下の要件にすべて該当した人となっています。
生年月日が昭和12年4月2日以降であり、70歳以上の方
厚生年金保険の適用事業所に勤務しており、勤務日数及び勤務時間がそれぞれ一般の従業員の概ね4分の3以上の方
過去に厚生年金保険の被保険者期間がある方


[調整方法]
 60歳台後半の在職老齢年金の調整の仕組みと同様であり、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額の合計額により調整額が定められます。


[主な届出]
 対象者を新たに雇用したとき(※1)や70歳に到達し引き続き雇用するとき(※2)には、「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を提出する必要があります。
※1 「健康保険被保険者資格取得届」を同時に提出。
※2 「厚生年金保険被保険者資格喪失届」を同時に提出。


 今後は、70歳になる方に対して、厚生年金保険料が不要になることと併せて、年金が調整される可能性があることを事前に説明する必要が出てくるでしょう。調整の計算方法等の詳細は、社会保険庁のホームページでご確認ください。



参考リンク
社会保険庁「平成19年4月1日から、年金制度の一部が変わります。」
http://www.sia.go.jp/seido/nenkin/n2007/index.htm
社会保険庁「平成19年4月より厚生年金保険の新しい仕組みが始まります。」
http://www.sia.go.jp/infom/pamph/dl/1904seido.pdf
社会保険庁「現行の年金制度の仕組み」
http://www.sia.go.jp/seido/nenkin/shikumi/index.htm


(宮武貴美)


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