平尾誠二の人材育成論
神戸製鋼ラグビー部のゼネラルマネージャーの平尾誠二さんの講演を聞く機会があった。泣きの監督で有名な山口監督率いる伏見工業でキャプテンとして全国制覇、同志社ラグビー部で3年連続全国優勝、その後神戸製鋼に移り、連覇に次ぐ連覇で一躍有名になった人物である。選手から指導者に変わり、若者の育成方法にユニークな考えを持ち実践している。一番のポイントは「指導方法」の中身がどうであれ、結果として「成果(優勝)」が出る方法なら、それは「指導方法」が若者に合致しているに他ならないとの自信である。
現在は反発係数が弱くなっている。昔はガッツのないプレーだったり、怠けていたりすれば、監督から体罰は当然で、「アホ、ボケ、カス!」の怒号が選手の反発を招き、その反発が逆に原動力になった、しかし、今はこうした反発係数が弱くなっているので、この方法は逆効果でしかない。監督の背中を見せると今の若者は逃げていく。選手を「手繰り寄せる」手法のほうが効果的である。10のプレーの内1つしかない好プレーを他の部員の前で褒める。その後は下手なプレーを仲間に見られたくないので他のプレーも真剣になってくる。
チームマネジメントのコツは「ワーク」でなく「プレー」にあると言う。彼は「チームワーク」を良くして頑張ろうとは言わない。「チームプレー」で楽しもうと部員に接しているそうだ。チームで楽しくプレー(遊び)しよう。メンバーのために自身を犠牲にして頑張らせるのではなく、自身の強い所を徹底して活かし、自身の苦手なことはさせないことで、自身の得意な場面を一杯作らせると、結果、他のメンバーが補ってくれるようになり、チーム力が増すと指摘し、成果も出してきた。
京セラの稲盛さんも、組織に勢いをつけるには、不燃性の部下を叱咤するのでなくチーム内のお調子者を見つけ出し、徹底して火をつけ、次に燃えやすい部下に火をつけ、これを順々に行っていくと結果、不燃性の部下も燃え出してくると言っている。成功したリーダーの共通の見解でもあるようだ。
(影山勝行)
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