7割以上の社員が管理職へのパワハラ研修の実施を要望
先日、東京都産業労働局「企業における女性雇用管理とセクシュアルハラスメントの取組等に関する調査結果」という資料が発表されました。本日はその中から、近年、多くの企業で問題が続出しているパワーハラスメントに関する結果について見てみることにしましょう。
この調査は、都内全域の従業員規模30人以上の11業種2,500事業所と、同事業所に勤務する従業員男女各2,500人計5,000人を対象に行われたもの。これによれば、過去5年間にパワーハラスメントが「問題になった」事業所は9.6%、「実態としてはある」事業所は24.9%という結果になりました。また従業員では、女性14.5%、男性13.1%がパワーハラスメントを「受けたことがある」と回答しています。この結果について、個人的には思ったよりも少ないという印象を持ちましたが、今回の調査対象企業の規模が小さいことが影響しているのかも知れません。
一方、女性の73.8%、男性の66.1%がパワーハラスメント対策について「取り組む必要がある」と回答しており、具体的な取組内容としては、「管理職への研修・講習等の実施」が必要と考える従業員が7割以上(女性74.4%、男性75.9%)にも上っています。これに対し、事業所の実施状況(左グラフ)を見ると、実際に管理職への研修を実施している事業所は17.2%に止まっており、労使での意識のズレが大きくなっています。そもそもパワハラは業務指導や躾との境界線が実務上曖昧であるため、管理職としては通常の指導の範囲と考えていても、部下からはパワハラであると指摘されることが少なくありません。職場でのコミュニケーション不全が進行している状況や改正男女雇用機会均等法の施行を考え合わせれば、管理職に対しハラスメント(パワハラ・セクハラ)研修を実施することが強く求められています。
参考リンク
東京都産業労働局「企業における女性雇用管理とセクシュアルハラスメントの取組等に関する調査結果」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2007/04/60h4q600.htm
(大津章敬)
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