目まぐるしく変わる経営環境とキャリアパスの重要性

 企業や社員を取り巻いている環境は、目まぐるしく変化しています。そのため社員は、いま勤めている会社で自らがどのようになっていくのか(いけるのか)が見えにくくなっています。面談などの際に社員から「会社の先行きが見えない!」といった不満や不安の声を聞かされたことがある方も少なくないのではないでしょうか。


 この対策としては企業のビジョンや経営計画を提示するといったことが求められますが、キャリア開発という観点からは、キャリアパスを整備することで社員に対して将来の方向性を示すということが行われます。しかし、会社が示しているキャリアパスは、管理職への昇進を前提とした「できる社員」を想定して作られることが多く、多くの社員にとってはピンと来ないものになっている例も少なくありません。環境の変化に伴って、社員にとって働くことに対する価値観は多様化しています。そのため、地位が上がっていくことや給料が増えていくことの他に、自らの専門的な能力を高めていくことやお客様との良好な関係を構築したいなど、社員自身が仕事や会社に対して求めていることが多様になってきています。


 企業としては社員の価値観に併せて多様なキャリアパスを提示し、社員自身が将来こんな仕事がしたい、そのためにはこんなキャリアパスを進みたいと考えていけるようにしていくことが重要になるでしょう。そしてこのことが、社員にとってキャリアを自分の問題として受け止めるきっかけにも繋がっていきます。そのためにはまず、今あるキャリアパスを見直し、どのようなキャリアパスがあるのかを再検討してみることが最初のステップになります。そして、そのキャリアパスに教育制度やローテーション、部署異動といった人事施策を結びつけていくことが、キャリアパスを進めていく上でも欠かせないでしょう。


 企業として目標となるキャリア像を示すことで、キャリアへの挑戦が社員のモチベーションアップに繋がっていくことが期待できるでしょう。それだけでなく、社員自身がキャリアパスから自分のキャリア像を設定することを通じて、会社と社員とが将来のキャリア像を共有することができるのではないでしょうか。


(福間みゆき)


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