キャリアの行きづまり

 日々、社員は仕事を通じて能力を高め、成長しています。しかし、同じ会社に勤めていても、社員間で昇進の違いがあったり、仕事や会社に対する満足度が異なっています。キャリアに行きづまりを感じているときは、昇進が遅れていたり、仕事や会社に対して不満を抱えたりすることが多くなる傾向がありますが、このような状態では社員はいま勤めている会社で自分がどのようになってゆくのか先行きが見えない、あるいは期待がもてない状況になっていることが通常です。会社や仕事に対して心が離れている状況であり、このままでは社員が会社を去ることにもなりかねません。


 このような状態にある場合、会社としてはキャリア面談や研修といった制度を導入し、機能的に動くようにしておくことが求められます。しかし、制度を導入さえすればキャリア支援が万全という訳ではなく、本来的には仕事そのものの魅力向上や上司の対応力などがキャリアを開発していく上で重要になってきます。実際、自分のキャリアについて考える機会を設ける、上司との面談を行うだけではキャリアを伸ばしていくことは難しいものです。キャリアの源となるのは、仕事の中からの経験や人との出会い、新しい仕事といったものの積み重ねであることが少なくありません。こうした出会いや仕事からキャリアが形成されてくる部分が、キャリア支援制度よりもずっと重要なものになっているでしょう。


 すべての社員が新しい仕事に就けるという訳ではありませんから、いまの仕事をどのように設計するかが大きなウエイトを占めています。そのため、会社は社員がこのままの状況で仕事を続けていくことで、本当にキャリアの発達につながるのかを見直してみることが望まれるでしょう。以前「キャリアの停滞」で書いたように、社員の成長を止めている原因が会社にあるということも少なくないように思います。だからこそ、会社は社員にどのような仕事に従事させていくことがより効果的なキャリア形成につながるのかを考えてみることが望まれているのではないでしょうか。



関連blog記事
2006年11月4日「キャリアの停滞」
https://roumu.com
/archives/50782411.html


(福間みゆき)


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