雇用保険法改正 育児休業給付率の50%への引き上げの内容

 以前からこのブログで取り上げてきた雇用保険法改正。今回は、お客様より実際に質問を受けた勘違いしやすい事例を取り上げて、育児休業給付の基本と改正内容について説明しましたいと思います。案外、理解していなかった!と思われる事例かもしれません。



[質問]
 当社では平成19年1月より育児休業を取得している社員がいますが、職場復帰に関しては7月1日を予定しています。雇用保険の育児休業給付率が50%に上がったと聞きましたが、育児休業期間中に給料の約50%がもらえるということでしょうか?


[回答]
 今回の改正では、育児休業給付の合計が40%から50%に引き上げられています。そもそも育児休業給付には、「育児休業基本給付金」と「育児休業者職場復帰給付金」の2つの給付金制度があります。今回の改正では、このうち「育児休業者職場復帰給付金」の支給率が10%から20%に変更されています。以下、ポイントをまとめてみましょう。
育児休業基本給付金
□育児休業期間中に支給される。
□支給対象期間(1ヶ月)当たり、休業開始時賃金日額×支給日数の30%相当額。
育児休業者職場復帰給付金
□育児休業が終了して6ヶ月経過した時点でまとめて支給される。
□休業開始時賃金日額×育児休業基本給付金が支給された支給対象期間の支給日数の合計日数の20%相当額。


 具体的には、育児休業開始時に、育児休業開始時賃金を登録することで休業開始時賃金日額が決定します。これを元に各々の給付金額が算出されます。
【例】育児休業前の1ヶ月当たりの賃金が30万円で育児休業を6ヶ月間取得する場合
育児休業基本給付金
 育児休業期間中の1ヶ月当たり30万円の30%相当額の9万円が6ヶ月間支給される
育児休業者職場復帰給付金
 育児休業基本給付金を受給した期間6ヶ月間が元となり、30万円の20%相当額(6万円)の6ヶ月分の36万円が支給される
※支給額の計算にその取得日数により、端数の日数計算があります。詳細な額は、申請ごとにハローワークでご確認ください。


[まとめ]
 実務的には、復帰6ヶ月後に申請を行う必要がある「育児休業者職場復帰給付金」について申請を漏らすケースが見られるようです。今回の改正で支給率が上がり、受給者にとっては相当大きな額になりますので、今まで以上に申請漏れがないよう、注意が必要でしょう。



関連blog記事
2007年5月14日「[平成19年雇用保険改正]育児休業給付の給付率引き上げ」
https://roumu.com
/archives/50969725.html


参考リンク
厚生労働省「雇用保険法が変わります!~雇用保険被保険者のみなさまへ」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/02.pdf
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号)の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/01.pdf


(宮武貴美)


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