うつ病等のメンタルヘルス不全者への医療費助成

 社労士として多くの企業の人事労務管理相談に対応していますが、ここ数年でメンタルヘルスに関する相談が急増していることを実感しています。その内容は管理職の対応問題、休職の取扱い、復職時の判断基準等、非常に多岐にわたっています。今回はそのようなご質問の中から、メンタルヘルス不全者に対する医療費助成について取り上げましょう。



【質問】
 当社では、今年の3月からうつ病により休職をしている社員がいます。当初は3ヶ月間の休養を要するという診断であり、5月まで休職をし、6月より復帰の予定でしたが、回復が思わしくなく、更に3ヶ月の休養を要するという診断が下されました。会社は健康保険の傷病手当金請求に協力していますが、長引く通院のため、本人の医療費負担も気になっています。何かアドバイスできることはないでしょうか?


【回答】
 医療費の負担軽減であれば、自立支援医療費(精神通院医療)制度の利用を検討されてはいかがでしょうか。うつ病の等の精神的な病気の治療は長期に渡ることが多くみられ、通院にかかる費用も高額になりがちです。自立支援医療費制度は、こうした費用の軽減を目的として作られた制度です。
[助成額]
 健康保険の自己負担額の3割のうち2割を助成(自己負担額は1割)。さらに、市町村より医療費助成制度として残りの1割を助成する場合もあり。


[手続方法]
 自立支援医療費(精神通院医療)支給の申請書
 医師の診断書
 上記2点を住んでいる市町村窓口へ提出(申請)


 この制度は受診者の申請に基づき、都道府県が支給認定をするものであり、会社側が案内をする責任はありません。しかし、費用の自己負担の軽減も考え、休職中の社員にはこのような制度があり、申請をしてみることで助成が受けられる可能性があることは説明した方が良いでしょう。



参考リンク
厚生労働省「自立支援医療について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou04/index.html


(宮武貴美)


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