高校生アルバイトの時間外労働の原則的取扱いとその例外

 先日、あるお客様から「高校生のアルバイトを雇う際に注意をすることはありますか?」という質問をいただきました。今日は、この質問を元に18歳未満の労働者(年少者)の労働時間の原則と例外について取り上げましょう。



[質問]
 当社は書店を経営しており、夕方以降にはレジのアルバイトに高校生を採用していますが、夏休みには、この高校生アルバイトに朝から働いてもらおうと考えています。通常より長時間の労働となりますが、法的に問題ありませんか?


[回答]
 満18歳未満の年少者については、労働時間について一定の制限があります。これに抵触しないよう労働時間管理を行なわなければなりません。年少者については「時間外労働・休日労働に関する協定」(いわゆる36協定)は適用されないため、時間外労働や休日労働を行なわせることができません。従って、労働時間の原則である1日8時間、1週40時間を守る必要があります。但し、満15歳以上で満18歳に満たない労働者については、満18歳に達するまでの間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く。)は、1週間の労働時間が40時間以内に設定し、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮することにより、他の日の労働時間を10時間まで延長することができます。
例)以下のような勤務を行うことが認められています。
 月曜日~木曜日9時間 金曜日4時間(週合計40時間)


[まとめ]
 高校生については、回答のような例外はありますが、この例外を利用するためには、1日の労働時間及び1週間の労働時間をきちんと管理する必要があるため、実務上は非常に煩雑です。また、就業規則等で年少者の時間外労働を禁止している内容も多く、例外を利用するためにはこれらの整備も必要となってきます。これらの点を勘案すると、高校生については原則である1日8時間、1週40時間を守るようにすることが最善ではありますが、夏休みに向け、高校生のアルバイトをフル活用する事業所もあるでしょうから、今回の内容も知識としては押さえておきたいところです。


[参考条文]
労働基準法第60条(労働時間及び休日)
 第32条の2から第32条のまで、第36条及び第40条の規定は、満18歳に満たない者については、これを適用しない。
2 第56条第2項の規定によつて使用する児童についての第32条の規定の適用については、同条第1項中「1週間について40時間」とあるのは「、修学時間を通算して1週間について40時間」と、同条第2項中「1日について8時間」とあるのは「、修学時間を通算して1日について7時間」とする。
3 使用者は、第32条の規定にかかわらず、満15歳以上で満18歳に満たない者については、満18歳に達するまでの間(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間を除く。)、次に定めるところにより、労働させることができる。
1.1週間の労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長すること。
2.1週間について48時間以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間、1日について8時間を超えない範囲内において、第32条の2又は第32条の4及び第32条の4の2の規定の例により労働させること。



参考リンク
神奈川労働局「高校生などを使用する事業主の皆さんへ」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/kokosei.htm
鹿児島労働局「年少者」
http://www.kagoshima.plb.go.jp/etc/seido/tebiki/tebiki09.html


(宮武貴美)


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