雇用保険の取得・喪失漏れを防止する方法

雇用保険の取得漏れを防止する方法 平成19年10月より雇用保険の大きな改正が行なわれます。今回はこの改正の前に雇用保険に加入している人をチェックするための方法を取り上げてみましょう。



[質問]
 当社ではパートタイマーを多く雇入れています。労働時間はパートタイマー個人単位で決められており、社会保険の加入状況もまちまちです。今回、社会保険の算定基礎届が届き、社会保険の手続が漏れている人が1名発覚しました。これまでは健康保険証が届かないという連絡が入るため、このような手続漏れはなかったのですが、今回は本人が病院にかかる機会がなかったため、発覚するのが遅くなったようです。同様に雇用保険の手続漏れがあるのではないかとの不安があります。雇用保険では算定基礎のように加入者の一覧がもらえないのでしょうか?


[回答]
 雇用保険には「事業所別被保険者台帳提供依頼書」(画像はクリックして拡大:東京都様式例)という様式により、台帳を取り寄せることができます。この台帳には、被保険者番号、氏名、生年月日、性別、取得日、喪失日等の情報が記載されており、現在取得中の被保険者の他、喪失済の被保険者についても取り寄せることができます。雇用保険の取得手続の遡りは2年が限度ですので、手続漏れの可能性がある場合は、早めに台帳を取り寄せ対処されることをお勧めいたします。なお、依頼書は全国統一の様式ではないようですので、事前に管轄のハローワークに問い合わせをしてください。


[まとめ]
 今回ご説明した雇用保険の被保険者のチェックに関しては、かつて私自身印象的な事件がありました。数年前に当社で雇用保険手続を新規受託する際、過去の取得・喪失漏れをチェックするためにこのチェックを行ったところ、なんと100歳を超える被保険者が台帳に記載されていたのです。いうまでもなくその社員は随分前に退職しているということで速やかに提出手続をしましたが、このときはさすがに驚きました。さて、今回のケースでは、社会保険の算定基礎届提出がきっかけとなりましたが、確実な業務遂行のためには、できれば毎年のチェックが望まれるところです。具体的には、労働保険の年度更新を行なうタイミングで取り寄せチェックを行なうことが望ましいのではないでしょうか。このときには、被保険者台帳に記載される年齢によって、雇用保険の免除対象者をピックアップするという活用も考えられます。



参考リンク
東京ハローワーク「事業所別被保険者台帳照会票」
http://www.tokyo-hellowork.jp/top/pdf/koyo006.pdf
東京ハローワーク「雇用保険各種申請書について」
http://www.tokyo-hellowork.jp/kakushu.html
大阪労働局「事業所別被保険者台帳提供依頼書」
http://osaka-rodo.go.jp/hw/umeda/hoken/tekiyo5.pdf
ハローワーク梅田「雇用保険適用関係様式の請求について」
http://osaka-rodo.go.jp/hw/umeda/hoken/yosiki.html



(宮武貴美)


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