[年金記録問題]第三者機関による判定基準の方針(案)が発表に

[年金記録問題]第三者機関による判定基準の方針(案)が発表に 年金記録問題が国政をも揺るがす程の大問題となっていますが、昨日、総務省の年金記録確認中央第三者委員会より「年金記録に係る申立てに対するあっせんに当たっての基本方針(案)」(画像はクリックして拡大)が示されました。非常に注目度の高い話題ですので、速報としてその概要をお伝えしましょう。


 この第三者委員会では、申立人の協力を得ながら関連資料および周辺事情を幅広く収集し、申立ての内容が社内通念に照らして「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」ということを判断の基準とする方向にあるようです。具体的には以下に例示する肯定的な関連資料および周辺事情に基づき、検討・判断し、それがない場合においても、申立人の申立内容等に基づき、総合的に判断するとのこと。
[国民年金]
保険料納付の有無
(肯定的な関連資料の例)
・銀行の出金記録、確定申告書(控)、家計簿など
(肯定的な周辺事情の例)
・申立期間の回数が少数
・申立期間が短期間(残余の期間は納付済み)
・同居親族は納付済み
特例保険料納付の有無
(肯定的な関連資料の例)
・銀行の出金記録、確定申告書(控)、家計簿など
(肯定的な周辺事情の例)
・特例納付後は未納期間が存在しない。
・近接時期に当該行政機関で生じた類似内容の申立てが散見される。
[厚生年金]
加入期間の相違/全部記録なし(適用事業所あり)
a)申立人が、適用事業所の被保険者に該当していたか(保険料納付が推定されるか)
(肯定的な関連資料の例)
・給与明細、賃金台帳など
・健康保険、雇用保険、厚生年金基金等の記録
(肯定的な周辺事情の例)
・人事記録、雇用主の証言など
・委託先の社会保険労務士が保管する被保険者台帳など
b)事業主が、適切な資格得喪の届出をしていたか
(肯定的な関連資料の例)
・事業所が資格得喪に係る届出書を保管
・健康保険、雇用保険、厚生年金基金等の記録
(肯定的な周辺事情の例)
・委託先の社会保険労務士が保管する被保険者台帳など
・同一事業所の他の従業員に類似事例なし
標準報酬月額等の相違
・上記「加入期間の相違または全部記録なし」に準じる。


 年金問題が大きな争点となっている参院選を控えているためか、資料がない場合でも「申立人の申立内容等に基づき、総合的に判断する」と、かなり広範に給付の判断を行うような印象を受ける内容となっています。国民にとって有利な内容になるのは良いですが、実務的には大きな混乱が続くと予想されます。



参考リンク
総務省「年金記録に係る申立てに対するあっせんに当たっての基本方針(案)」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070709_6.pdf


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。