意思決定への参加が社員と組織に与える影響
物事の取り決めを行うとき、みなさんの会社ではどのくらい社員から意見を汲むようにしていますか?企業規模が大きくなると、トップダウンで指示がなされ、その決定事項をなんとかして処理することに現場が忙殺されるというような場面に遭遇することが少なくありません。こうした場合、社員は決定事項に対して意見を言うことは難しく、またいまさら意見を言っても無駄と思ったり、指示に従っていればそれで良いという他人事のような態度を取ったりすることもあるでしょう。また、一方的に指示が来ることで、指示を受ける方としてはそれを押し付けと感じ、それに対して非協力的な態度をとることも考えられます。もっともこうした状況は規模の大小だけの問題ではありませんので、小さな組織であってもその組織のトップのタイプによっては良く見られることではないでしょうか。
このように組織としての意思決定を行う際に、社員の意見が反映されないと、「決まったことに対して納得できない」ということから、社員の士気(モラール)を低下させることに繋がりがちです。またこうした状況が長期に亘って継続すると、社員自ら考えるという主体的な動きが少なくなり、次第に現場からの意見が出てこないという風土を作ることにもなりかねません。更には自分がこの会社にいる意義そのものを見出せなくなり、離職率の上昇にも繋がります。
この問題の対策としては、当たり前のことですが、社員の意見を引き出す機会をつくることが、その解決のための第一歩になります。新しい取組みをするときや目標設定をする際などは、社員に対して当事者としての意見を言う機会を確保することが求められるでしょう。物事の取り決めに自分も参加できることで、「少しでも関わりを持つことができた」、「要望を聞いてもらえた」という納得感に繋がり、更には当事者意識の高まりから決定事項に対する責任感が醸成されていきます。その結果、部署やチームのみんなで決めたということで組織に一体感が生まれることとなります。
このように社員の意見を真摯に受け止め、意思決定に反映させることは個人の動機付け、そして組織の活性化において、非常に重要な役割を果たします。日常的な業務の現場では、その効率的な処理が優先され、社員の意見を引き出している余裕はないと思います。それだけに、少なくとも組織の方向性や社員に大きな影響を与えるような事柄については、社員を組織の意思決定に参加させることを意識したいものです。
(福間みゆき)
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