ガソリン価格急騰で見直しが相次ぐマイカー通勤者の通勤手当計算方法

 ガソリン価格の急騰が続いています。石油情報センターの調査によれば、12月3日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は過去20年間の統計の中でも最高値である154.9円を記録し、また今後も当面、ガソリン価格の上昇は続くと言われています。このような状況を背景に、多くの企業ではマイカー通勤者より通勤手当の引き上げを希望する声が多く聞かれるようになっており、この機会にその計算方法を見直す事例が増加しています。


 マイカー通勤者の通勤手当の計算には様々な方法がありますが、ガソリン価格の変動という要素を前提として考えれば、「往復通勤距離×所定勤務日数×ガソリン単価÷平均燃費」といった算式に基づき設定することが合理的でしょう。この計算式のうち、ガソリン単価および平均燃費については統計資料が発表されていますので、それを利用することができます。


 まずガソリン単価については、会社の契約スタンドにおける単価を適用する例が多く見られますが、より客観的な指標としては、財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センターの「給油所石油製品市況調査」や総務省統計局の「小売物価統計調査」などを利用することができます。こうした統計では毎月の全国主要都市でのレギュラーガソリンの平均価格が集計されていますので、このデータを元に、毎年1回単価見直しを行うというルールを定めるというのが良いのではないでしょうか。また平均燃費については国土交通省から毎年、自動車燃費一覧という資料が発表されており、最新データ(平成19年3月)を見ると、ガソリン車の平均燃費はリッターあたり15.1kmとなっています。


 こうした最新の統計データからマイカー通勤者の通勤手当の単価を計算してみると、通勤距離1kmあたり10.25円(154.9円÷15.1km)となります。以上が通勤手当設定における基本的な考え方になりますが、現実にはマイカーのオイル代その他のメンテナンス費用に対応するため、単価に2円程度の上乗せをしたり、消費税として先ほどの計算式の結果に1.05を乗じるような例も見られます。いずれにしてもガソリン単価の変動が大きく、社員の不満も高まっている時期でもありますので、このタイミングで、より合理的な支給額計算ルールを整備することをお勧めします。



参考リンク
石油情報センター「給油所石油製品週次調査(月曜調査)」
http://oil-info.ieej.or.jp/price/price_ippan_kyuyujo_syuji.html
総務省統計局「小売物価統計調査 調査結果〔平成19年10月〕」
http://www.stat.go.jp/data/kouri/2007mm/index.htm
国土交通省「自動車燃費一覧について」
http://www.mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpilist/nenpilist.html


(大津章敬)


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