[中国労働契約法]就業規則策定のススメ

 みなさん、こんにちは 名南経営大津です。当ブログでは、基本的に日本国内の人事労務に関するトピック等をお伝えしていますが、今回から数回、今年の1月1日に施行された中国の労働契約法に関する情報をお送りしたいと思います。今回の中国労働契約法は、労働者保護の色が極めて強い内容になっており、中国に進出している企業にとっては非常に大きな影響が予想されています。今回の連載では弊社上海事務所(上海名南企業管理咨詢有限公司)の近藤充より、その概要と影響についてレポートさせて頂きます。(大津章敬



 労働契約法は全国人民代表大会(全人代)常務委員会第二十八次会議で承認されました。正式には「中華人民共和国労働合同法」(主席令[2007]第65号)と言い、2008年1月1日から施行されています。そもそも中国においても労働関係については、労働法が存在していますが、今回の労働契約法では、その中から労働契約の部分について別に切り出された形で法制化がなされています。


 今回の労働契約法の制定の趣旨は「労働者保護」にあり、その具体的な要点としては以下の6点にまとめることができます。
無期限の労働契約
労働契約の強制締結
試用期間の短縮
人員削減に対する制限強化
経済補償金の強制化
派遣労働者の立場強化


 法律の規定上では、原則が定められていますが、実際の運営上の取り扱いについてはまだ明らかになっていません。どこまで原則どおりの運営がなされるかは、今後の実施細目の公表を待つしかない状態です。しかしながら、今後、確実に重要性を増すと思われるのが就業規則です。現状では、就業規則を策定していない企業も珍しくありませんが、今後は策定が義務付けられ、しかもその策定に当たっては、労働者もしくは労働者団体の同意が必要となります。


 今回の改定により、労働者との契約で無期限の労働契約が増加するものと思われ、短期契約と比べると人員調整、もしくは望ましくない労働者を辞めさせることが難しくなります。具体的には、規律違反を理由に解雇する場合にも就業規則に定めてあることが必要となります。よって労働契約法への対応としては、まずすべての基本となる就業規則の策定・見直しが強く求められています。
 
(上海名南企業管理咨詢有限公司 近藤充)


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