そろそろ熱中症に注意が必要な時期になります
毎年、5月中旬を過ぎると当ブログでは熱中症に対する注意喚起をしています。左グラフ(画像はクリックして拡大)の過去3年間の熱中症による死亡災害の月別発生状況を見れば分かるとおり、昨年も不幸にして18件の熱中症による死亡災害が発生しています。件数としては、気温が高い7月および8月が多くなっていますが、5月や6月にも数件の死亡災害が発生しており、そろそろ熱中症に対する予防対策が必要となります。
以下では熱中症の予防策と、発生時の救急措置のポイントについて解説します。特に屋外作業を行う際には十分に以下の事項を注意し、現場指導を徹底することが求められています。
[予防策]
そもそも熱中症とは、高温の環境で発生する障害の総称で、射病、熱けいれん、熱虚脱、熱ひはいに分けられますが、その基本的な対策としては以下のようなことに注意が必要です。
□日除けや風通しを良くするための設備を設置し、作業中は適宜散水する。
□水分・塩分補給を行い、また身体を適度に冷やすことのできる冷たいおしぼりなどの物品を用意する。
□日陰などの涼しい場所に休憩場所を確保する。
□十分な休憩時間や作業休止時間を確保する。
□作業服は吸湿性・通気性の良いものを着用する。
□健康診断や巡視などにより、作業者の健康状態を把握しておく。
[熱中症の初期症状の把握]
以上のような予防策がまずは求められますが、その上で、熱中症の初期症状を早めに見極め、必要な応急措置を取ることが求められます。熱中症には以下のような初期症状が見られますので、まずはこうした症状が見られないか、注意しておくことが重要です。
□高い体温
□赤い・熱い・乾いた皮膚(全く汗をかかない、触ると熱い)
□ズキンズキンとする頭痛
□めまい、吐き気
□意識の障害(応答が奇妙である、呼びかけに反応がないなど)
[救急措置]
実際に熱中症が発生してしまった際には、以下の手当を早急に行った上で、直ちに病院に連れて行き、医師の手当を受けることが必要です。
□涼しい場所で安静にする。(安静中は1人にさせない。)
□水やスポーツドリンクなどを取らせる。
□体温が高いときは、裸体に近い状態にし、冷水をかけながら扇風機の風を当てるなどして、体温の低下を図る。
また緊急時の備え、近くの病院や診療所の所在地や連絡先を把握し、緊急連絡網を作成して、関係者に知らせておくことも必要です。
参考リンク
厚生労働省「熱中症による死亡災害発生状況(平成19年分)について:基安労発第0423001号 平成20年4月23日」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/05/tp0514-1a.html
環境省「熱中症保健指導マニュアル(2007年6月改訂版)」
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
(大津章敬)
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