11月に変更された労災保険から支給される通院費の範囲

11月に変更された労災保険から支給される通院費の範囲 労働者災害補償保険法では、業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対する給付を行っていますが、この給付の中の療養補償給付では、移送に関する費用も給付として認めています。この移送として給付が受けられる範囲には、「災害現場等から医療機関への移送」、「転医等に伴う移送」および「通院」がありますが、平成20年11月からこのうちの「通院」の費用の支給対象が変更になりました。


 支給対象となる通院は、住居地または勤務地から、原則、片道2キロメートル以上の通院であって、からのいずれかに該当するものです。
同一市区町村内の医療機関へ通院したとき
同一市区町村内に適切な医療機関がないため、隣接する市区町村内の医療機関へ通院したとき
(同一市区町村内に適切な医療機関があっても、隣接する市町村内の医療機関の方が通院しやすいとき等も含まれます。)
同一市町村及び隣接する市町村内に適切な医療機関がないため、それらの市町村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき


 実態としては、平成20年10月31日までは、「住居地又は勤務先からおおよそ四キロメートルの範囲内」という制限がありましたので、ほとんどのケースで範囲が広がることになるでしょう。今後の申請は当然ですが、現在、通院している労働者がいる場合にも案内が必要になります。なお、この変更内容は通達に基づき行われているようですが、現段階でこの通達は公開されていないようです。


[関連法規]
労働者災害補償保険法 第13条
 療養補償給付は、療養の給付とする。
2 前項の療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。
1.診察
2.薬剤又は治療材料の支給
3.処置、手術その他の治療
4.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
5.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
6.移送
3 政府は、第1項の療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。



参考リンク
愛知労働局「「あなたは通院費を請求していますか?」労災の通院費の支給対象が変更になりました」
http://www2.aichi-rodo.go.jp/jyoho/rousaihosyou/tuuinnhi-henkou-poster.pdf


(宮武貴美)


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