昨年の熱中症による死亡者は過去最高を記録 求められる熱中症対策

昨年の熱中症による死亡者は過去最高を記録 間もなく、暑い夏がやってきます。そんな中、厚生労働省は、平成22年の「職場における熱中症による死亡災害発生状況」をまとめ、公表しました。これによれば、昨年の職場での熱中症による死亡者は47人となり、熱中症と分類して統計を取り始めた平成9年以降、もっとも多い人数となりました。昨夏の猛暑の影響も大きいと思われますが、業種別に見ると、「建設業」(17人←平成21年5人)、「製造業」(9人←同1人)、「農業」(6人←同0人)、「その他の業種」(10人←同0人)といった業種において大きく増加しています。

 今年は東日本大震災による夏期電力需給対策に基づき、職場での節電が求められていることから、5月末に「平成23年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について(平成23年5月31日付け基安発0531第1号)」という通達が発出されています。その概要は以下のとおりです。
建設業や、建設現場に付随して行う警備業においては、職場における熱中症予防対策を実施し、特に次の3項目を重点事項とすること。
(1) 管理・監督者が頻繁に巡視を行う、朝礼等の際に注意喚起を行う等により、作業者に、自覚症状の有無に関わらず水分・塩分を定期的に摂取させること。
(2) WBGT値について計測等を行い、必要に応じ作業計画の見直し等を行うこと。
(3) 高温多湿作業場所で初めて作業する場合には、順化期間を設ける等配慮すること。

製造業においては、職場における熱中症予防対策を実施し、特に次の4項目を重点事項とすること。
(1) 管理・監督者が頻繁に巡視を行う、朝礼等の際に注意喚起を行う等により、作業者に、自覚症状の有無に関わらず水分・塩分を定期的に摂取させること。
(2) 熱中症予防についての労働衛生教育を繰り返し行うこと。また、その実践について日々の注意喚起を図ること。
(3) WBGT値について計測等を行い、必要に応じ作業計画の見直し等を行うこと。
(4)作業場所又はその近隣に、涼しい休憩場所を確保すること。

 昨年は猛暑により特に熱中症の問題が深刻となりましたが、今年も暑い夏が予想されます。安全配慮義務の履行という面からも、改めて熱中症に関する対策と現場教育の実施が求められます。


関連blog記事
2010年7月20日「猛暑日が続きます!熱中症対策を徹底しましょう」
https://roumu.com
/archives/51761957.html

2009年7月28日「ネットで調べる熱中症予防情報」
https://roumu.com
/archives/51594355.html

2009年6月23日「職場における熱中症の予防について」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50507681.html
2009年6月3日「熱中症環境保健マニュアル(2008年6月改訂版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50499450.html
2009年6月2日「死を招く「熱中症」を防げ!!」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50499448.html

参考リンク
厚生労働省「職場での熱中症予防の徹底を!」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dwae.html
平成23年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について(平成23年5月31日付け基安発0531第1号)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dwae-att/2r9852000001dwhe.pdf

(大津章敬)

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