精神障害に係る国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正
先日、厚生労働省年金局長より日本年金機構理事長宛に「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について」が通知され、精神障害にかかる障害認定の基準への「発達障害」の項目の新設など、一部改正が行われました。本日はその発達障害に関する新設箇所について取り上げましょう。
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。
各等級に相当すると認められるものを一部例示すると以下のとおりである。
■1級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
■2級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かっ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
■3級
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
■国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正について(平成23年6月30日 年発0630第1号)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110704T0010.pdf
■改正後の様式はこちら
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110704T0020.pdf
(大津章敬)
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