[ワンポイント講座]平均賃金・解雇予告手当を計算する際の端数処理
実務家にとって各種計算における端数処理は、何かと悩まされるポイントであります。そこで今回のワンポイント講座では、平均賃金および解雇予告手当を計算する際の端数処理について取り上げましょう。
平均賃金を計算する際の端数処理
平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその従業員に対して支払った賃金合計額を、その期間の総日数で除して計算します。
平均賃金 = 過去3ヶ月間の賃金総額 ÷ 過去3ヶ月間の総日数
それでは以下で、具体的な端数処理の流れをみていきましょう。
【例】
・以前3ヶ月間の賃金合計額:938,000円
・3ヶ月間の総日数:90日
・平均賃金の計算:938,000円÷90日=10,422.222円
このように端数が生じてしまいますが、この取扱いについては通達(昭和22年11月5日 基発第232号)が出されており、銭未満の端数が生じた場合は、これを切り捨ててもよいとされています。つまり、小数点3ケタ以降の数字を切り捨ててよいことになり、この場合、平均賃金は10,422円22銭となります。
※なお、上記の例は原則的な方法で計算したものであり、賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合、総額を労働日数で除した6割に当たる額が高い場合はその額が適用されます。その他、雇い入れ後3ヶ月に満たない者などについては特殊な計算方法により平均賃金を算出します。
解雇予告手当を計算する際の端数処理
次に、上記の例を用いて、即日解雇を行い30日分の解雇予告手当を支払うケースを取り上げましょう。
・解雇予告手当:10,422.22円×30日=312,666.6円
このように今回も円未満の端数が残り、実際に解雇予告手当を支払う際にその取扱いに困ることになります。この取扱いについては、解雇予告手当の端数処理について示した通達がないため、就業規則に特段の定めがない限り賃金に準じて取扱うことになります。つまり、1円未満の端数を四捨五入することになり、この場合、解雇予告手当は312,667円となります。
今回は、解雇予告手当を取り上げましたが、会社都合により従業員を休業させ、その際に支払う休業手当についてもこの平均賃金をもとに計算することになります。そのため、端数が生じた際には、処理方法を必ず確認することが求められます。
(福間みゆき)
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