中国人事管理の先を読む!第29回「中華人民共和国憲法」

中華人民共和国憲法 今回は非常に重要な法律であるにもかかわらず、接する機会の少ない「中国の憲法」についてお話をしたいと思います。

 中国憲法は1949年の建国以降に公布され、1982年公布の現行憲法はこれまでに4回改正されました。日本国憲法のように憲法自体で改正手続が規定されていないため、全国人民代表大会の決議を経るか、事実上、政治局常務委員の合意によって比較的簡素に改正されます。4章と附則、138条の条文から構成される成文憲法で、「総則」「公民の基本的権利と義務」「国家機構」「国旗・国歌・国章・首都」が大きな構成部分です。

 序文では毛沢東による中国建国、中国共産党の功績、また侵略戦争と植民地支配に対する抗議が物語的に記述されています。特筆すべきは、「台湾地区は中国の神聖な領土の一部である」と明記されている点です。

 総則では「中国は人民民主主義独裁の社会主義国家を目指す」と謳われ、中国は社会主義でもない、共産主義でもない、「社会民主主義」という新たなイデオロギーに立脚した社会を構築していこうとしていることが明らかになっています。

 第3章の「国家機構」では、「全国人民代表大会」「国家主席」「国務院」「中央軍事委員会」「人民法院と人民検察院」に関する定義がなされ、それぞれ立法、行政、国家、軍事、司法の機構について書かれています。すべては最高政党である中国共産党の組織下に置かれているため、三権が独立し、相互に抑制し、均衡を保ちながら機能するのは難しい状態です。

 第2節の「国家主席」では、満45歳以上の公民は選挙権・被選挙権を持ち、全国人民代表大会で選出されるとあります。つまり国の代表は間接選挙で選ばれる仕組みなのですが、間接選挙は一部の「鎮」や「郷」で行われるにとどまり、上位のヒエラルキーからは途切れてしまっています。このため厳密には、国家主席が間接選挙で選任されるという表現は正確ではありません。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
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(清原学)

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