[ワンポイント講座]医師による面接指導制度の前提となる時間外労働のカウント方法

医師 近年、過重労働の防止の観点から様々な施策が講じられていますが、労働安全衛生法により実施が求められている医師による面接指導制度もその一つとなります。その実施にあたって実務上よく問題となるのが、その実施の前提となる時間外労働の時間数の取扱いです。そこで今回のワンポイント講座では、この面接指導の実施有無を判断する際の時間外労働のカウント方法について取り上げましょう。

 そもそも面接指導制度は、時間外労働が100時間/月を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときには、従業員からの申し出を受けて実施することが使用者に義務付けられているという制度です。また、以下に当てはまる場合についても、その実施が努力義務とされています。
時間外労働が80時間/月を超え、かつ、疲労の蓄積が認められ、従業員からの申し出があった場合
事業場で定めた基準に該当する場合

 この面接指導を実施する際に実務上問題となってくることが、その前提となる時間外労働の計算方法になります。通常、会社では毎月の給与計算において時間外労働を集計し、時間外労働手当を支払っていますが、実はその時間数をそのまま適用するのでは問題があるのです。ここで言う時間外労働とは週40時間を超えて労働させた時間であり、ここには時間外と休日労働時間が含まれることになります。そして、1ヶ月当たりの時間外・休日労働時間の計算については、通達(平成18年2月24日基発第0224003号)の中で、以下のように示されています。


1ヶ月の時間外労働時間数=1ヶ月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)-(計算期間1ヶ月の総暦日数/7)×40


 特に問題となるのが変形労働時間制を導入している場合ですが、これについても同じ通達の中でその取扱いが示されており、上記の方法と同様であるとしています。つまり、変形労働時間制やフレックスタイム制を導入していたとしても、これらの労働時間制度における時間外労働とは別に考え、改めて時間外労働の時間数を計算する必要があります。

 この面接指導制度は、事業場規模を問わずすべての事業場が対象となっていることから、上記の計算式に基づいて時間外労働時間数を把握し、確実に実施することが求められます。

(福間みゆき)

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