中国人事管理の先を読む!第39回「同一賃金と基本給のあり方」
中国では従業員の認識も、また法律が求めるところにおいても、「同一労働同一賃金」という考え方が深く根付いています。日本の旧態依然の制度である「年功」という考え方は、なかなか受け入れられるものではありません。「同じ仕事をしているのだから、賃金も同じである」。仕事、要するにどのような技能を持ち、どの程度の付加価値を有する仕事を任務しているかが、中国の賃金制度の基礎となっています。そのような価値基準に立って賃金制度を組んでいく場合でも、従業員の評価に応じて賃金に差をつけることはもちろん受け入れらるものではありますが、どの賃金を同じくし、どの賃金を変えていくかをよく考え、作っていかなければなりません。
中国の賃金制度を構築する場合、大きく以下の「基本給」「考課給」「崗位給」「手当」に区分されると思います。
基本給:各々の等級で同一
考課給:人事考課により変動
崗位給:担当職務の付加価値
手当:該当者に対して支給
前述のような「同一労働同一賃金」をどこで吸収させるかといいますと、「基本給」と「崗位給」の2つになると思われます。つまり、「基本給は属する等級に応じて決定する」ということになります。これが日本の職能資格制度と大きく異なる部分で、職能資格制度の場合、評価に応じて基本給自体が変わりますね。では同一の等級であるのに、基本給が異なるのはどう説明するのか、実はこのことが中国では合理的な根拠が担保できないところなのです。従って同じ資格であれば基本給は同一、これが中国の基本給制度の重要な考え方です。
基本給が上昇する根拠は2つしかありません。ひとつはベースアップです。労務工の基本給の場合、最低賃金の調整によるベア、あるいはホワイトカラーも含め、物価上昇(CPI)によるベア、このようにベースアップによって基本給全体は変動します。もうひとつの要素は昇格です。1級の従業員が2級に昇格すれば、自ずと基本給自体は上昇します。翻って言えば、この2つの要素以外、基本給の上昇は見られません。
このように、基本給の運用定義に同一労働同一賃金の概念を組み入れることでメリットもあります。まず、残業手当の算定を基本給のみ対象としている場合、残業手当の上昇を抑制することができます。もうひとつ、賞与を同様に、基本給をベースとして決定していれば、賞与原資のコントロールがしやすくなります。このように、基本給という賃金のあり方を貴社でも一度、検討してみられてはいかがでしょうか。
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
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