平成24年度最低賃金額引上げ額の目安は全国加重平均で7円に

saitin 毎年10月に改定が行われる最低賃金ですが、ここ数年は生活保護と逆転現象等の理由から、一部の地域では大幅な引き上げが続いています。平成24年改正についても、昨日開催された中央最低賃金審議会において、地域別最低賃金額改定の目安について全国加重平均は7円が引き上げられる予定となる答申が出されました。以下ではそのポイントについて取り上げましょう。

【答申のポイント】
[ランクごとの目安、乖離解消額の目安及び乖離解消期間の見直し]
各都道府県の目安については、(1)の金額とするが、地域別最低賃金額が生活保護水準を下回っている地域については、それぞれ(1)の金額と(2)の金額とを比較して大きい方の金額とする。
(1)ランクごとの引上げ額は、Aランク5円、B~Dランク4円(昨年はAランク4円、B~Dランク1円)。

(2) 最低賃金額が生活保護水準を下回っている(以下「乖離額」という。)11都道府県(北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫及び広島)については、次の<1>又は<2>を参酌し、各地方最低賃金審議会が定めた額とする。
<1> 3道県(北海道、宮城及び神奈川)については、予定解消期間の残年数(1年=今年)を1年延長することが適当と考える。
乖離解消額については、乖離額を今年度に解消した場合の額を原則としつつ、乖離額÷2で得た金額も踏まえて、審議を行う。ただし、そうした場合に、今年度の引上げ額がこれまでに例を見ないほどに大幅になると見込まれる地域(北海道及び宮城)については、乖離額÷2で得た額を原則としつつ、乖離額÷3で得た額も踏まえて、審議を行う。
<2>8都府県(青森、埼玉、千葉、東京、京都、大阪、兵庫及び広島)については、原則として、乖離額÷各地方最低賃金審議会が定める予定解消期間の年数(原則として2年以内でできるだけ速やかに)で得た金額

[地方最低賃金審議会の自主性発揮、審議の際の留意点]
地方最低賃金審議会では、中央最低賃金審議会の見解を十分に参酌され、かつ、 同審議会が審議に用いた資料を活用され、東日本大震災により経済・企業・雇用動向等に甚大な影響が生じた地域においては地域ごとの被害状況、復旧・復興状況等にも十分に配慮し、地域の実情を踏まえ、その自主性を発揮することを強く希望する。

 この答申に示された考え方を踏まえ、仮定を置いて機械的に試算した場合、今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は7円(昨年は6円)になります

 今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。地方においては最低賃金に近い金額で雇用されている者が多いですから、今後の引上げの動向に注目し、そのコストへの影響などを把握しておきたいところでしょう。


参考リンク
厚生労働省「平成24年度地域別最低賃金額改定の目安について~ランクごとの仮定の目安はAランク5円、B~Dランク4円~」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002g9ku.html
(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。