[改正派遣法(1)]日雇派遣の原則禁止と例外となる労働者
今国会では、人事労務に関連する法律の改正が多く成立しており、今後、施行までに対応をする必要があります。その中で労働者派遣法は、その法律の名前を「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と名称を変え、派遣労働者の雇用の安定を図る目的に明確に示しました。そこで今回から数回に亘り、この改正労働者派遣法について改正点と実務上への影響を取り上げることとします。第1回の本日は日雇派遣の原則禁止と例外となる労働者について解説します。
改正労働者派遣法では、事業規制の強化の一つとして、日々または30日以内の期間を定めて雇用する日雇労働者の労働者派遣(日雇派遣)を禁止しています。ただし、以下の3つの場合については、例外として日雇派遣を認めることとなっています。
派遣労働で行う業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、日雇労働者を派遣し、従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合
雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合
その他の場合で政令で定める場合
平成24年8月5日現在、政令は公布されていませんが、政令案では、具体的に以下のケースは日雇派遣を例外として認めることになっています。
日雇派遣の禁止の例外となる業務
現在の労働者派遣法施行令第4条各号に掲げる業務のうち、第1号、第2号、第5号から第13号まで、第16号(建築物又は博覧会場における来訪者の受付又は案内の業務に限る。)、第17号から第20号まで、第23号及び第25号に掲げる業務
日雇派遣の禁止の例外となる場合
(1)日雇労働者が60歳以上の者である場合
(2)日雇労働者が学校教育法第1条、第124条又は第134条第1項の学校の学生又は生徒(定時制の課程に在学する者その他の厚生労働省令で定める者を除く。)である場合
(3)日雇労働者の収入の額が厚生労働省令で定める額以上である場合
(4)日雇労働者が主として生計を一にする配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同等の事情にある者を含む。)その他の親族の収入により生計を維持する者(世帯の収入が厚生労働省令で定める額以上である者に限る。)である場合
さらに厚生労働省令案では政令案の内容を以下のように示しています。
禁止の例外となる場合から除かれる学生
(1)学校教育法第4条第1項に規定する定時制の課程に在学する者
(2)卒業を予定している者であって、雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業に雇用され、卒業した後も引き続き当該事業に雇用されることとなっているもの
(3)休学中の者
(4)(1)から(3)までに準ずる者
日雇労働者等の収入の額
日雇労働者についての労働者派遣の禁止の例外となる日雇労働者の生業の収入の額又は世帯の収入の額は、500万円とする。
派遣受入期間の制限のない政令で定める26業務については、比較的多くの業務が例外として扱われるようになってはいますが、一時的な繁忙により人員を確保するような必要のある企業では、それを派遣労働者に頼ることができなくなるため、計画的な人員募集や採用活動が必要になってきます。
なお、改正労働者派遣法の多くは平成24年10月1日の施行が予定されており、この日雇派遣の原則禁止も10月1日の施行予定となっています。
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参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/
長野労働局「政令で定める26業務」
http://nagano-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/hourei_seido/_67656/_67665.html
(宮武貴美)
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