急速に進められる建設業における社会保険未加入対策への動き

急速に進められる建設業における社会保険未加入対策への動き 国土交通省を中心に建設業の社会保険未加入問題が大きくクローズアップされてきており、その具体的対策が相次いで発表されています。そこで本日は、今年の春以降、国土交通省より示された様々な対策について取り上げます。
平成24年5月1日
「建設業法施行規則の一部を改正する省令」及び「建設業法第27条の23第3項の経営事項審査の項目及び基準を定める件の一部を改正する告示」
 [施行日:平成24年7月1日~]
 主な改正事項:経営事項審査における保険未加入企業への減点措置の厳格化
詳細
・評価項目のうち「健康保険及び厚生年金保険」を、「健康保険」と「厚生年金保険」に区分し、各項目ごとに審査する。
・「雇用保険」、「健康保険」および「厚生年金保険」の各項目について、未加入の場合、それぞれ40点の減点(3保険に未加入の場合120点の減点)とする。
[施行日:平成24年11月1日~]
1.建設業の許可申請書に保険加入状況を記載した書面の添付が必要となる。
2.施工体制台帳等に保険加入状況の追加記載が必要となる。

平成24年7月4日
社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを制定
[施行日:平成24年11月1日~]
 上記を受けて、社会保険等の加入促進に向け、建設業許可・更新時の社会保険等の加入確認および未加入企業への指導を行うとともに、元請企業と下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任が明確にされました。

平成24年7月31日
建設業法令遵守ガイドラインを改訂

  上記の一環として、「建設業法令遵守ガイドライン」(元請負人と下請負人の関係に係る留意点)が改訂されました。その中で、社会保険・労働保険に係る項目について、これらの保険料は、建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり建設業法で定められた「通常必要と認められる原価」に含まれること、見積時から法定福利費を必要経費として適正に確保する必要があること、下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示されているにもかかわらず、元請負人が、下請負人の法定福利費相当額を一方的に削減したり、法定福利費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結した場合、建設業法に違反するおそれがあること等が明記されました。

 このような動きを受けて、下請企業においては、社会保険等の未加入により経営事項審査が減点されるなどの影響が出てきたり、社会保険等の加入に向けた行政そして元請企業からの指導が行われることになります。建設業を営む小規模企業には非常に大きな影響がある動きですので、今後の動向に注意しながら、確実な対策を行うことが求められます。


参考リンク
国土交通省「建設業法令遵守ガイドラインの改訂について」
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000170.html
国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000008.html
国土交通省「「建設業法施行規則の一部を改正する省令」及び「建設業法第27条の23第3項の経営事項審査の項目及び基準を定める件の一部を改正する告示」について
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000156.html

(福間みゆき

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