雇用保険各種給付の受給者数が急増 高齢者・育児共に5年で1.8倍
厚生労働省は、毎年、雇用保険の適用・給付の状況をまとめた雇用保険事業年報を発表しています。この年報は、雇用保険の適用・給付状況を把握し、雇用保険制度の適正な運営を図るとともに、雇用対策等の基礎資料として利用することを目的として作られたものであり、どのような給付がどの程度行われているかを確認できる資料となっています。今回はこの年報にある雇用継続給付から分かる高年齢労働者・育児休業取得者数について取り上げましょう。
高年齢雇用継続給付(基本給付金)
高年齢雇用継続給付(基本給付金)については、以下の通り、5年間で受給者数は約1.8倍に、支給額も約1.5倍に増加しています。これは、少なからず、平成18年に施行された改正高年齢者雇用安定法により60歳以降の継続雇用者が増加したことが影響していると思われます。
受給者数 支給額
平成18年度 1,964,851人 110,318,625千円
平成19年度 2,251,998人 112,381,800千円
平成20年度 2,663,211人 124,622,763千円
平成21年度 3,053,125人 142,249,648千円
平成22年度 3,329,884人 154,581,081千円
平成23年度 3,645,339人 171,044,308千円
来年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されることで、来年度以降は受給者数等がさらに増加することが考えられます。
育児休業給付
の高年齢雇用継続給付と同様、育児休業給付に関しても増加傾向となっており、5年間で受給者数は約1.8倍に、支給額も約2.8倍に増加しています。育児・介護休業法についても平成17年、平成22年と改正法が施行され、より制度が取得しやすく、浸透した結果が表れていると想像されます。
受給者数 支給総額
平成18年度 567,167人 95,506,913千円
平成19年度 647,644人 120,795,633千円
平成20年度 747,005人 151,144,314千円
平成21年度 839,184人 171,130,967千円
平成22年度 941,573人 230,032,183千円
平成23年度 1,050,472人 263,160,697千円
現在のところ、来年度以降も高年齢雇用継続給付は継続して運用されることになっていますが、そもそもの創設目的である「高齢化が進む中で、働く意欲と能力のある高年齢者について就業意欲を維持、喚起し、60歳から65歳までの雇用継続を援助、促進する」ことは給付の有無にかかわらず、かなり実現されていると思われます。今後、制度の廃止もしくは縮小も含め、どのような取扱いになるか、注目をしていきたいと思います。
参考リンク
厚生労働省「雇用保険事業年報」
(宮武貴美)
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