中国人事管理の先を読む!第49回「今こそ評価制度の見直しを」

今こそ評価制度の見直しを 今年も年の瀬に差し掛かり、来年の賞与、中には1月の昇給を控え、まさに従業員の評価の最中という企業も多いのではないのでしょうか?このコラムでは時折、人事制度について書いてきましたが、残念ながら現状では「評価のための評価」となっている企業も少なくないようです。こうした時期こそ、従業員を正しく評価したいものです。

 中国では従業員に対し、「仕事」を中心とした管理を行っていくべきだと考えます。日本で用いられているような「能力」を基準とした評価では、どうしても曖昧な評価に陥ってしまい、中国の従業員には受け入れ難いものとなるからです。

 私もいろいろな講演の機会にお話しているのですが、日本で使われている評価基準は、例えば積極性とか責任感といった保有能力を評価し、「このような能力を持っていれば仕事ができるはずだ」というように、能力と仕事を結びつけ、いわば「推定」で評価を行う制度が多いのです。日本企業の本社の多くが採用している「職能資格制度」は、人事評価のあり方についてこのような考えの上に成り立っているわけです。

 ところが、それが中国の日系企業の人事管理を合理的なものから遠ざけています。中国の人事管理では、逆に「仕事」を中心に据え、その仕事の結果としてどのような能力を保有していなければならないかと考えていくわけです。したがって、常に人事評価は「仕事」あるいは「仕事の遂行状況」から行われ、結果的に納得性の高い人事評価が行われるのです。

 中国での人事管理上、もうひとつ重要なポイントは人事制度の情報をできる限り公開することです。公開することをためらう企業も少なくありませんが、むしろ公開した方が従業員は何も言いません。ただし、日本のように能力を中心に評価を行っている限りは、評価が「A」なのか「B」なのか、どうにでもとれますので、なかなか説明責任が果たされません。それであればいっそ隠してしまおうとなり、どんどん悪循環に陥ってしまうのです。

 仕事を評価しようとすれば、担当する職務ごとの仕事の内容や遂行のゴール、責任などを個々特定する必要があります。これをまとめていくには相当の時間を要します。しかし、ここのところで踏ん張らなければ、いつまで経っても合理的な評価はできません。日本と中国とでは「評価軸が違う」という認識のもと、そろそろ人事評価のあり方を考えてはいかがでしょうか。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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