中国人事管理の先を読む!第52回「労働契約法改正と労務派遣禁止に関する公布」
昨春の全国人民代表大会で労働契約法改正の方針が発表され、小生も講演で労務派遣の原則禁止と運用の厳格化が求められると話して来ました。労務派遣で社員を受け入れている顧問先に対しては、近々直接雇用への転換を求められるので準備を進めるようアドバイスしたり、早い段階で労務派遣の制限が起こり得るとお話しておりました。全人代の性質上、施政方針発表から年度を跨いで動きがないということはあり得ないため、今春の全人代までには何らかの方針発表があるものと思っていましたが、昨年12月28日の第11期全人代常務委員会第30回会議で労働契約法改正の公布が正式決定され、2013年7月1日から施行されることとなりました。
7月1日以降は「臨時性」「補助性」「代替性」の「三性」の職位以外の派遣労働の受け入れができなくなります。労働契約法でも各々の性質に関する定義は明確とは言えませんが、一般的な司法解釈で「臨時性」とは「存続期間が6カ月を超えない職位」を指し、これを超える職位については原則派遣が禁止になります。「補助性」とは「主要業務を補助する業務」、「代替性」とは「正社員が、病欠、産休その他の事由により業務に従事できない場合に暫定的に当該正社員の業務を行うこと」と解釈されていました。この解釈定義に一切該当せず、派遣契約(間接雇用)で従業員を受け入れている企業も結構多く、そのような企業は本年7月から直接雇用への転換が迫られたわけであり、日系企業も少なからず影響を受けることになります。
まず、直接雇用に置き換えることで、無固定の労働契約(終身雇用)も今後は適用されることが挙げられます。従来の派遣雇用であれば2年間の契約を更新し続けることで無固定労働契約を回避できたのですが、それが7月からはできなくなります。次に社会保険の納付に関する影響。従業員のすべてを労務派遣で雇っている企業は、そもそも社会保険の納付口座を持っていません。これが直接雇用になった場合、まず社会保険口座を設けなければなりません。さらに就業規則や労働契約書の作成や改定。派遣雇用の場合には基本的に必要なかった具備が求められるなど、人事管理の追加要素を挙げれば結構やるべきことが多くあります。小生も今後、セミナー等で同改正について発信してまいりますので、ご質問、お問い合わせにつきましては、ぜひメールでお寄せ下さい。
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
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