【清原学の中国現地レポート】鳥インフルエンザが発生した上海の状況とパンデミックの憂慮
この4月で、中国駐在も13年目になりました。そんな春に、今度は「鳥インフルエンザ」の人体感染という事態が起きています。中国は、本当に色々と話題には事欠かない国です。
上海を流れる黄浦江という川があります。ここは「バンド(外灘)」と呼ばれる上海有数の観光名所ですが、この川に今年2月、上流の浙江省から豚の屍骸がなんと1万匹も流れて来ました。この時から、地元では疑わない者がいないくらいに、伝染病の発生が話題になっていましたが、それに引き続き、今回の鳥インフルエンザの人体感染の発生です。推して知るべしではあります。私もこの13年間のうちに、2003年のSARS、2005年の鳥インフルエンザ等を、実際に現地で経験して来ましたが、先般の大気汚染も一向に改善に向かわないうちに、再び鳥インフルエンザの発生ということで、中国の生活環境に対してさすがに不安を抱くようになってきました。
中国も、2003年のSARSのときには情報開示が遅れ、世界中から非難を浴びたため、今回の鳥インフルエンザの被害拡大には神経を尖らせており、情報開示を日々行っているように見えますが、そもそも豚が大量に死んだ原因すら隠していたので、その隠微体質がとても劇的に変化しているとは思えません。
今回の鳥インフルエンザは、上海、江蘇省、浙江省を中心とした華東地区を中心に発生しているようですが、豚、鳥など中国の家畜の数は全世界の5分の1を占めており、その大半は内陸部で飼育されています。今は沿岸部だけの被害ですが、これから中国の内陸部での発生が危ぶまれるところです。その付近から感染者が出てきた途端、全国規模のパンデミック(大流行)を憂慮しなければなりません。
実際に中国現地での状況は、というと、先日も仕事で南京、まさに発生地である蘇州や無錫を抜けていきましたが、マスクをしている人を見かけたり、外出を控えているという話はあまり聞きませんでした。どのようなときでもそうですが、外でワイワイ騒いでいる程、中は結構安穏としています。とはいえ、以前のように情報を隠し切るということもなく、中国のメディアでも連日、この話題については報道されていますので、基本的に危機感が薄いのかも知れません。それが反って怖ろしくはあります。
上海は中国でも一番人の集まるところです。そこでパンデミックが発生すれば、瞬く間に大感染につながります。私が住んでいる上海・虹橋地区の隣でも感染者が出たということで、この流行はまだまだ続きそうです。中国政府がどこまで真実を開示するかが今後注目されます。
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(清原学)
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