中国人事管理の先を読む!第57回「社員の休暇管理の重要性」
私のところには日々、クライアント企業から労務のご相談をいただき、自分なりには仕事が継続し、嬉しい半面、企業からしてみれば、それだけ悩みや社員とのトラブルが多いということで、一概に喜んでもいられない、複雑な気持ちですね。
さて、最近とても多くなっているご相談の中で、注目すべきものとして「社員の休暇管理」の問題が挙げられます。休暇と一言で申し上げても、有給休暇や傷病休暇、産休、私事休暇と様々ですが、実態としてこのような休暇をきちんと管理していないことで会社からみれば「いつまで休むの?」となったり、逆に社員からすれば「これは私に与えられている権利です!」となったり、最終的にモメてしまうケースが非常に多いようです。このように休暇の日数は法定・会社、それぞれどのくらいの期間が認められているのか、さらにその休暇期間中の賃金は法律でどう定められているのか、いつからいつまでが何の休暇なのかなどなど、きちんと管理しておかないと、会社の管理体制自体に問題があるように思われかねません。就業規則の中には「休暇」という章立てがされていると思いますが、「休暇管理」だけの規定を作って用意しておいてもよいくらい、この休暇管理は重要です。その中に休暇の申請手続きや休暇として認められている期間、その間の賃金、休暇を終えて勤務できない場合の措置などを決め、体系的にまとめておくだけでとても安心感があります。
特に最近多いのは、産休についてのトラブルです。産前産後98日間の問題や、2カ月半まで認められる特別産休、出産後の授乳期間、子供が満1歳になるまでの授乳時間など、特に中国は母性保護に関しては大変厳しいので、会社が迂闊に契約終了や解雇などしようものなら一発で労働仲裁になり、大抵は敗訴します。また、その後の経済補償も相当な金額を覚悟しておかなければなりません。このように、国から一番保護されている妊娠・出産にある女性従業員ですので、ついつい会社は制度的に過保護になりがちです。言われたまま許してしまう、ということが起こらないとも限りません。しかし、それがまた前例になってしまうという反面もあり、管理には大変気を使います。ただこの場合も、無条件に認められるという訳ではなく、「法律の範囲内で」という前提が必ずあります。そのようなことも踏まえ、やはり休暇の管理はきちんと行っておくべきです。
参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about
(清原学)
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